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August 8, 2013 Vol. 369 No. 6

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治療抵抗性移植片対宿主病と死亡のリスクマーカーとしての ST2
ST2 as a Marker for Risk of Therapy-Resistant Graft-versus-Host Disease and Death

M.T. Vander Lugt and Others

背景

同種造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病(GVHD)に対する治療への反応性に関連する血漿バイオマーカーは同定されていない.

方 法

GVHD に対する治療開始後 28 日目までに完全寛解が得られた 10 例と,治療中に GVHD の増悪をきたした 10 例の治療開始後中央値 16 日で採取された血漿において,12 個のバイオマーカーを比較した.有力な候補のバイオマーカーである腫瘍形成抑制因子 2(ST2)を,GVHD に対する治療開始時点の患者 381 例から採取した血漿と,3 つの独立したセットの患者計 673 例の移植後 1 ヵ月間に採取した血漿を用いて測定し,このバイオマーカーと,治療抵抗性 GVHD および治療後または移植後 6 ヵ月の死亡率との関連を検討した.

結 果

12 個のマーカーのうち,ST2 は GVHD 治療に対する抵抗性とその後の無再発死亡にもっとも有意に関連していた.治療開始時の ST2 値が低い患者と比較して,ST2 値が高い患者では治療抵抗性 GVHD を発症する確率が 2.3 倍高く(95%信頼区間 [CI] 1.5~3.6),治療後 6 ヵ月以内に死亡する確率が 3.7 倍高かった(95% CI 2.3~5.9).ST2 値が低い患者では,GVHD の重症度にかかわらず,ST2 値が高い患者よりも無再発死亡率が低かった(グレード I または II の GVHD 患者では 11% 対 31%,グレード III または IV の GVHD 患者では 14% 対 67%;両比較について P<0.001).移植後 14 日目の血漿 ST2 値には,前処置の強度にかかわらず,6 ヵ月無再発死亡率との関連が認められた.

結 論

GVHD の治療開始時と移植後 1 ヵ月間に測定された ST2 値によって,移植後の治療抵抗性 GVHD と,無再発死亡に関するリスク層別化が改善された.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 529 - 39. )