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August 8, 2013 Vol. 369 No. 6

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血糖値と認知症のリスク
Glucose Levels and Risk of Dementia

P.K. Crane and Others

背景

糖尿病は認知症の危険因子である.糖尿病でない人において,血糖値がより高いことで認知症のリスクが上昇するかどうかは明らかになっていない.

方 法

認知症でない 2,067 例で測定した臨床血糖値 35,264 回分と糖化ヘモグロビン値 10,208 回分を用いて,血糖値と認知症リスクとの関連を検討した.対象は成人の思考変化に関する研究の参加者で,内訳は男性 839 例,女性 1,228 例で,ベースラインの平均年齢は 76 歳であった.このうち 232 例が糖尿病であり,1,835 例は糖尿病ではなかった.糖尿病の有無で層別化し,年齢,性別,研究コホート,教育水準,運動レベル,血圧,冠動脈疾患・脳血管疾患の有無,心房細動の有無,喫煙状況,高血圧に対する治療の有無について補正し,Cox 回帰分析を行った.

結 果

追跡期間中央値 6.8 年のあいだに,認知症は 524 例(糖尿病患者 74 例,非糖尿病者 450 例)で発症した.非糖尿病者では,登録前 5 年以内の平均血糖値がより高いことが認知症リスクの上昇に関連し(P=0.01),血糖値 115 mg/dL(6.4 mmol/L)では,100 mg/dL(5.5 mmol/L)と比較して認知症の補正ハザード比 1.18(95%信頼区間 [CI] 1.04~1.33)であった.糖尿病患者においても,平均血糖値がより高いことが認知症リスクの上昇に関連し(P=0.002),血糖値 190 mg/dL(10.5 mmol/L)では,160 mg/dL(8.9 mmol/L)と比較して補正ハザード比 1.40(95% CI 1.12~1.76)であった.

結 論

この研究の結果から,糖尿病でない人においても,血糖値がより高いことが認知症の危険因子となる可能性があることが示唆される.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 540 - 8. )