The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 22, 2013 Vol. 369 No. 8

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

中南米における東部ウマ脳炎
Eastern Equine Encephalitis in Latin America

J.-P. Carrera and Others

背景

東部ウマ脳炎(EEE)ウイルスとベネズエラウマ脳炎(VEE)ウイルスは,南北アメリカにおいてヒトとウマに感染する病原体である.2010 年 5 月~8 月初旬に,パナマでヒトとウマにおける神経疾患の集団発生が報告された.

方 法

入院患者の血清検体において,ウイルス RNA の検出とウイルス分離を目的として,抗体測定と検査を行った.強化サーベイランスを行い,さらなる症例を同定した.

結 果

19 例の患者が脳炎により入院した.そのうち 7 例で EEE,3 例で VEE が確認され,1 例は両ウイルスに感染していた.3 例が死亡し,そのうち 1 例で VEE が確認された.EEE 患者の臨床所見は,脳病変,てんかん重積状態にまで進展したてんかん発作,神経学的後遺症などであった.積極的サーベイランスを行った期間に,アルファウイルス感染の疑い例または可能性が高い例が,さらに 99 例検出された.13 例で EEE,11 例で VEE が確認され,1 例が重感染していた.ウマでは 50 例で EEE,8 例で VEE が確認され,11 例に両ウイルスの所見が認められた.EEE ウイルスのウマ感染例 2 例と VEE ウイルスのヒト感染例 1 例の分離株を用いた系統解析により,これらのウイルスは新たに移入されたものではなく,パナマで以前に同定された地方病系統であることが示された.

結 論

中南米のヒトにおける EEE 症例は,地方病の伝播サイクルへのヒトの接触が増えるような環境的変化,ヒトに対する病原性の増大をもたらすような EEE ウイルス株の遺伝学的変化,または宿主範囲の変化に起因している可能性がある.(米国国立衛生研究所,パナマ科学技術革新局から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 732 - 44. )