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August 29, 2013 Vol. 369 No. 9

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妊娠中の経口フルコナゾールの使用と先天異常のリスク
Use of Oral Fluconazole during Pregnancy and the Risk of Birth Defects

D. Mølgaard-Nielsen, B. Pasternak, and A. Hviid

背景

症例報告から,妊娠中の重症真菌感染症に対する長期の高用量フルコナゾール投与によって,特定のパターンの先天異常が引き起こされることが示唆されている.一般的な低用量投与の場合に,特定の先天異常のリスクが上昇するかどうかは不明である.

方 法

デンマークの生産児登録をベースとしたコホートにおいて,妊娠第 1 期における経口フルコナゾール曝露と,先天異常全般のリスクと,これまでにアゾール系抗真菌薬との関連が認められている先天異常のリスクについて検討した.

結 果

フルコナゾールに曝露した妊娠の大半は,一般的な治療用量である 150 mg(妊娠の 56%)または 300 mg(31%)の投与を受けた女性で認められた.経口フルコナゾール曝露に,先天異常全般のリスク上昇との関連は認められなかった(フルコナゾール曝露妊娠 7,352 例中先天異常 210 例 [有病率 2.86%],非曝露妊娠 968,236 例中先天異常 25,159 例 [有病率 2.60%];補正有病オッズ比 1.06;95%信頼区間 [CI] 0.92~1.21).また,経口フルコナゾール曝露と,アゾール系抗真菌薬との関連が示されている先天異常 15 種類中 14 種類,すなわち頭蓋縫合早期癒合症,その他の頭蓋顔面奇形,中耳奇形,口蓋裂,口唇裂,四肢奇形,四肢減形成,多指症,合指症,横隔膜ヘルニア,心奇形全般,肺動脈形成不全,心室中隔欠損症,左心低形成の有意なリスク上昇との関連は認められなかった.残りの 1 種類,ファロー四徴症には有意なリスク上昇が認められた(フルコナゾール曝露妊娠では 7 例 [有病率 0.10%] であったのに対し,非曝露妊娠では 287 例 [有病率 0.03%];補正有病オッズ比 3.16;95% CI 1.49~6.71).

結 論

経口フルコナゾールに,先天異常全般の有意なリスク上昇や,以前より懸念されていた特定の先天異常 15 種類中 14 種類の有意なリスク上昇との関連は認められなかった.フルコナゾール曝露は,ファロー四徴症のリスク上昇をもたらす可能性がある.(デンマーク医学研究評議会から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 830 - 9. )