September 5, 2013 Vol. 369 No. 10
米国の複数州におけるカンタロープメロンに関連したリステリア症の集団発生
Multistate Outbreak of Listeriosis Associated with Cantaloupe
J.T. McCollum and Others
農産物に関連する疾患の集団発生では,新しい病原体と媒体の組合せが同定されることが増えてきているが,新鮮な農産物がリステリア症の媒体として認められることはまれである.われわれは,2011 年に起こった全米規模のリステリア症の集団発生を調査した.
2011 年 8 月 1 日~10 月 31 日に分離された,集団発生に関連する 5 つのリステリア菌(Listeria monocytogenes)サブタイプのいずれかへの感染が検査によって確認された例を,「集団発生に関連する症例」と定義した.複数の州において疫学的調査,遡及的調査,環境調査を行い,集団発生に関連する症例を,米国内のリステリア症症例に関する詳細な情報を定期的に収集する強化サーベイランスシステムである,リステリアイニシアチブにそれまでに報告された散発症例と比較した.
28 州で,集団発生に関連する症例は 147 例同定された.患者の大半(147 例中 127 例,86%)が 60 歳以上であった.妊娠女性および新生児の感染 7 例と,関連する流産 1 例が報告された.入院に関する情報が得られた 145 例のうち,143 例(99%)が入院していた.147 例中 33 例(22%)が死亡した.集団発生に関連する疾患の患者では,散発例である 60 歳以上の患者よりも,カンタロープメロンを食べていた割合が有意に高かった(オッズ比 8.5,95%信頼区間 1.3~∞).調査期間中に採取したカンタロープメロンと環境試料から,集団発生に関連する 5 つのサブタイプすべてに一致する分離株が得られ,コロラドの 1 ヵ所の農場で生産された未加工のカンタロープメロンが発生源であることが確認された.この農場で操業していた加工施設で同定された不衛生な状態が,カンタロープメロンのリステリア菌汚染をもたらしたと考えられた.
カンタロープメロンなどの生鮮農産物が,リステリア症の媒体となる可能性がある.この集団発生から,農場内および加工環境での農産物汚染を予防することの重要性が強調される.