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March 27, 2014 Vol. 370 No. 13

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自閉症児の新皮質における構造異常を示す斑
Patches of Disorganization in the Neocortex of Children with Autism

R. Stoner and Others

背景

自閉症には早期の脳の過成長と機能障害が関わっているが,これは前頭前皮質にもっとも強く認められる.病理学的解析で評価されているように,自閉症児の前頭前皮質にみられる過剰なニューロンは出生前発達における障害を示すものであり,細胞種と層形成の異常を伴っている可能性がある.

方 法

自閉症発症後数年間の新皮質構造を系統的に検討するため,層および細胞種特異的な分子マーカーのパネルを用いた RNA in situ ハイブリダイゼーションにより,皮質微細構造の表現型を解析した.2~15 歳の自閉症児および非自閉症児の死後の前頭前野,側頭葉,後頭葉の新皮質組織において,ニューロンおよびグリアのマーカーと,自閉症リスクに関与するとされている遺伝子を解析した.

結 果

自閉症児 11 例中 10 例と非自閉症児 11 例中 1 例の前頭前皮質組織および側頭皮質組織に,ニューロンの層細胞構築異常と皮質形成異常を示す限局性斑が認められたが,グリアの異常は認められなかった.症例間で,斑のなかでもっとも異常な細胞種と,病理学的特徴がもっともよくみられる層に関して不均一性が認められた.異常が認められない皮質層はなく,異常発現の徴候は第 4 層と第 5 層でもっとも明らかであった.層マーカーの三次元再構成によって,斑の位置関係と大きさが確認された.

結 論

この小規模探索的研究では,自閉症を有する幼児の大半の皮質において層構造に限局的崩壊が認められた.これらのデータから,出生前発達の段階で,層形成および層特異的なニューロン分化の調節障害が起こる可能性があることが支持される.(サイモンズ財団ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 1209 - 19. )