The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 24, 2014 Vol. 370 No. 17

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

ABT-450/r,オムビタスビル,ダサブビル,リバビリンを併用する C 型肝炎ウイルスの治療
Treatment of HCV with ABT-450/r–Ombitasvir and Dasabuvir with Ribavirin

J.J. Feld and Others

背景

C 型肝炎ウイルス(HCV)遺伝型 1 型感染患者の HCV に対しては,プロテアーゼ阻害薬 ABT-450+リトナビル(ABT-450/r),NS5A 阻害薬オムビタスビル(ombitasvir)(別名 ABT-267),非ヌクレオシド系ポリメラーゼ阻害薬ダサブビル(dasabuvir)(別名 ABT-333)にリバビリンを併用するインターフェロンを用いない治療が有効であることが示されている.肝硬変を伴わない未治療の HCV 遺伝型 1 型感染患者を対象とした第 3 相試験において,このレジメンを検討した.

方 法

多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験において,未治療の HCV 遺伝型 1 型患者を,3:1 の割合で,ABT-450/r・オムビタスビル配合剤(ABT-450 150 mg,リトナビル 100 mg,オムビタスビル 25 mg,1 日 1 回)と,ダサブビル(250 mg,1 日 2 回),リバビリン(投与量は体重に応じて決定)を用いる実薬レジメン(A 群)と,それらにマッチさせたプラセボ(B 群)に割り付けた.患者は 12 週間の二重盲検期間に試験薬の投与を受けた.主要評価項目は,投与終了後 12 週の時点でのウイルス排除(SVR)とした.主要解析では,A 群の奏効率と,肝硬変を伴わない未治療の患者で,テラプレビルにペグインターフェロン+リバビリンの併用投与を受けた歴史的対照群における奏効率(78%)とを比較した.二重盲検期間に発生した有害事象を A 群と B 群で比較した.

結 果

631 例が試験薬の投与を 1 回以上受けた.A 群の SVR 率は 96.2%(95%信頼区間 94.5~97.9)であり,歴史的対照群よりも優れていた.A 群では,投与期間中のウイルス学的失敗は 0.2%,投与後の再燃は 1.5%に認められた.A 群における奏効率は,HCV 遺伝型 1a 型感染患者では 95.3%,HCV 遺伝型 1b 型感染患者では 98.0%であった.有害事象による中止率は各群 0.6%であった.A 群では,悪心,瘙痒,不眠,下痢,無力症の発生率が,B 群よりも有意に高かった(すべての比較について P<0.05).ヘモグロビン濃度の低下はすべてグレード 1 または 2 であり,A 群ではグレード 1 の低下が患者の 47.5%,グレード 2 の低下が 5.8%に認められたのに対し,B 群ではグレード 1 の低下が患者の 2.5%に認められた.

結 論

肝硬変を伴わない未治療の HCV 遺伝型 1 型感染患者において,12 週間の ABT-450/r・オムビタスビルとダサブビルにリバビリンを併用した複数標的レジメンは有効性が高く,低い投与中止率と関連していた.(AbbVie 社から研究助成を受けた.SAPPHIRE-I 試験 ClinicalTrials.gov 登録番号:NCT01716585)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 1594 - 603. )