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May 15, 2014 Vol. 370 No. 20

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慢性シャーガス病に対するポサコナゾールとベンズニダゾールの無作為化試験
Randomized Trial of Posaconazole and Benznidazole for Chronic Chagas’ Disease

I. Molina and Others

背景

シャーガス病に対する現在の治療選択肢はベンズニダゾール(benznidazole)とニフルチモックス(nifurtimox)に限られているが,いずれも慢性期においては低い治癒率と関連しており,かなりの毒性がある.ポサコナゾール(posaconazole)はモデルマウスにおいて抗トリパノソーマ活性が示されている.

方 法

前向き無作為化臨床試験において,慢性 Trypanosoma cruziT. cruzi)感染症の成人を対象に,ポサコナゾールの有効性と安全性をベンズニダゾールと比較した.患者を,ポサコナゾール 400 mg を 1 日 2 回(高用量ポサコナゾール)投与する群,ポサコナゾール 100 mg を 1 日 2 回(低用量ポサコナゾール)投与する群,ベンズニダゾール 150 mg を 1 日 2 回投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.投与は 60 日間行った.投与期間中と投与終了後 10 ヵ月間に,リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(rt-PCR)法によって T. cruzi DNA の有無を検査し,抗寄生虫活性を評価した.ポサコナゾールの吸収を 14 日目に評価した.

結 果

intention-to-treat 集団は 78 例であった.投与期間中は,14 日目以降に全例が rt-PCR 法にて T. cruzi DNA 陰性を示したが,低用量ポサコナゾール群の 2 例は 60 日目に陽性を示した.追跡期間中,intention-to-treat 解析では,低用量ポサコナゾール群では患者の 92%,高用量ポサコナゾール群では 81%が rt-PCR 法にて T. cruzi DNA 陽性であったのに対し,ベンズニダゾール群では 38%であった(ベンズニダゾール群とポサコナゾール各群との比較について P<0.01).per-protocol 解析では,低用量ポサコナゾール群では患者の 90%,高用量ポサコナゾール群では 80%が rt-PCR 法にて陽性であったのに対し,ベンズニダゾール群では 6%であった(ベンズニダゾール群とポサコナゾール各群との比較について P<0.001).ベンズニダゾール群では 5 例が重度の皮膚反応により投与を中止した.ポサコナゾール群では 4 例のアミノトランスフェラーゼ値が正常値上限の 3 倍を超えたが,投与中止はなかった.

結 論

ポサコナゾールは慢性シャーガス病患者において抗トリパノソーマ活性を示した.しかし,ポサコナゾール群では,追跡期間中に治療失敗となった患者がベンズニダゾール群よりも有意に多かった.(スペイン保健省から研究助成を受けた.CHAGASAZOL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01162967)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 1899 - 908. )