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January 23, 2014 Vol. 370 No. 4

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米国における頻度の高い 4 つの疾患・状態に伴う患者安全の動向,2005~11 年
National Trends in Patient Safety for Four Common Conditions, 2005–2011

Y. Wang and Others

背景

頻度の高い疾患や,手術が必要な状態のメディケア患者において,有害事象の発生率が変化しているかどうかはほとんど明らかにされていない.

方 法

米国で 2005~11 年に急性心筋梗塞,うっ血性心不全,肺炎,または手術が必要な状態で入院した患者の診療録から抽出した21 の有害事象に関する,メディケア患者安全性モニタリングシステムのデータを用いた.リスクのある患者における有害事象の発生率,有害事象が 1 件以上発生した患者の割合,入院 1,000 件あたりの有害事象発生数の動向を推定した.

結 果

この研究は,急性心筋梗塞(19%),うっ血性心不全(25%),肺炎(30%),手術が必要な状態(27%)で入院した患者 61,523 例を対象とした.2005~11 年に,急性心筋梗塞患者では,有害事象の発生率は 5.0%から 3.7%に低下し(差 1.3 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 0.7~1.9),有害事象が 1 件以上発生した患者の割合は 26.0%から 19.4%に低下し(差 6.6 パーセントポイント,95% CI 3.3~10.2),入院 1,000 件あたりの有害事象発生数は 401.9 から 262.2 に低下した(差 139.7,95% CI 90.6~189.0).うっ血性心不全患者では,有害事象の発生率は 3.7%から 2.7%に低下し(差 1.0 パーセントポイント,95% CI 0.5~1.4),有害事象が 1 件以上発生した患者の割合は 17.5%から 14.2%に低下し(差 3.3 パーセントポイント,95% CI 1.0~5.5),入院 1,000 件あたりの有害事象発生数は 235.2 から 166.9 に低下した(差 68.3,95% CI 39.9~96.7).肺炎患者と手術が必要な状態の患者では,有害事象の発生率に有意な低下は認められなかった.

結 論

2005~11 年において,急性心筋梗塞またはうっ血性心不全により入院した患者では有害事象の発生率が大幅に低下したが,肺炎または手術が必要な状態により入院した患者では低下しなかった.(米国医療研究品質局ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 341 - 51. )