The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 6, 2014 Vol. 370 No. 6

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

米国の乳児におけるロタウイルスワクチン接種後の腸重積のリスク
Intussusception Risk after Rotavirus Vaccination in U.S. Infants

W.K. Yih and Others

背景

第二世代のロタウイルスワクチンであるロタテック(RV5,5 価ワクチン),ロタリックス(RV1,1 価ワクチン)の接種後に,腸重積のリスクが上昇することが多国承認後研究によって明らかにされている.われわれはこの関連を米国の乳児において調査した.

方 法

研究は,米国食品医薬品局が助成するミニセンチネルプログラムに参画している 3 つの米国の医療保険に加入した,生後 5.0~36.9 週の乳児のデータを対象とした.処置コードと診断コードによって,2004 年から 2011 年半ばまでに腸重積の可能性のあった症例と,ワクチン曝露を同定した.診療録を再調査し,腸重積の発症と,ロタウイルスワクチンの接種状況を確認した.主要解析には,ワクチン接種児のみを対象とした自己対照リスクインターバルデザインを用いた.副次的解析には,曝露した人–時間と曝露していない人–時間のコホートデザインを用いた.

結 果

RV5 は初回接種 507,874 回,総接種 1,277,556 回,RV1 は初回接種 53,638 回,総接種 103,098 回を解析対象とした.検出力は,RV1 の解析のほうが RV5 の解析よりも低かった.RV5 の初回接種を受けた 100,000 人あたりの腸重積の過剰症例数は,主要解析(7 日間のリスク期間の寄与リスク 1.1 [95%信頼区間 {CI} 0.3~2.7],21 日間のリスク期間の寄与リスク 1.5 [95% CI 0.2~3.2]),副次的解析(21 日間のリスク期間の寄与リスク 1.2 [95% CI 0.2~3.2])ともに有意に増加していた.2 回目,3 回目の接種後にはリスクの有意な上昇は認められなかった.RV1 は,主要解析の結果は有意ではなかったが,副次的解析では 2 回目の接種後に有意なリスクが認められた.

結 論

RV5 は,初回接種を受けた 100,000 人あたり約 1.5 例(95% CI 0.2~3.2)の腸重積過剰と関連していた.RV1 は,研究の検出力が低かったものの,副次的解析からリスク上昇の可能性が示唆された.これらのリスクは,ロタウイルスワクチン接種で証明されている有益性と照らし合わせて検討する必要がある.(米国食品医薬品局から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 503 - 12. )