January 2, 2014 Vol. 370 No. 1
初心運転者と熟練運転者のながら運転と交通事故リスク
Distracted Driving and Risk of Road Crashes among Novice and Experienced Drivers
S.G. Klauer and Others
二次的作業を行うことにより注意が散漫するながら運転は,10 代の初心運転者と成人の熟練運転者の両方における自動車事故の主な原因である.
携帯電話の使用などの二次的作業を行うことと,事故および事故未遂のリスクとの関係に関する 2 つの試験を行った.より客観的に評価を行うため,加速度計,カメラ,グローバルポジショニングシステム(GPS),その他のセンサーを,免許を取得したばかりの運転者 42 人(16.3~17.0 歳)と,運転経験のより豊富な成人 109 人の自動車に設置した.
試験期間中に,事故および事故未遂は初心運転者で 167 件,熟練運転者で 518 件同定された.初心運転者では,携帯電話をかけるとき(オッズ比 8.32,95%信頼区間 [CI] 2.83~24.42),携帯電話を取ろうとするとき(オッズ比 7.05,95% CI 2.64~18.83),携帯電話でテキストメッセージを送受信するとき(オッズ比 3.87,95% CI 1.62~9.25),携帯電話以外の物を取ろうとするとき(オッズ比 8.00,95% CI 3.67~17.50),道路脇の物を見るとき(オッズ比 3.90,95% CI 1.72~8.81),物を食べているとき(オッズ比 2.99,95% CI 1.30~6.91)に,事故および事故未遂のリスクが有意に上昇した.熟練運転者では,携帯電話をかけることが事故および事故未遂のリスクの有意な上昇と関連していた(オッズ比 2.49,95% CI 1.38~4.54).この集団では,携帯電話でのメールやインターネットアクセスに関連するリスクの評価は行われなかった.リスクの高い二次的作業への傾注の発生率は,初心運転者では経時的に上昇したが,熟練運転者では上昇しなかった.
初心運転者における事故および事故未遂のリスクは,携帯電話をかける,メールをするなどのさまざまな二次的作業を行うことに伴い上昇した.(米国ユニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健・人間発達研究所,米国高速道路安全局から研究助成を受けた.)