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February 13, 2014 Vol. 370 No. 7

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鞭虫感染に対するオキサンテルパモ酸塩とアルベンダゾールの併用
Oxantel Pamoate–Albendazole for Trichuris trichiura Infection

B. Speich and Others

背景

土壌伝播蠕虫(回虫 [Ascaris lumbricoides],鉤虫,鞭虫 [Trichuris trichiura])感染が拡大しており,同時に感染することが多い.これらの寄生虫感染は,通常はアルベンダゾールまたはメベンダゾールによって治療されるが,いずれの薬剤も鞭虫に対する有効性は低い.アルベンダゾールは鉤虫に対する第一選択薬である.

方 法

タンザニアのペンバ島で行った二重盲検試験において,6~14 歳の小児を,次の 4 種類の治療のいずれかに無作為に割り付けた:オキサンテルパモ酸塩(oxantel pamoate)20 mg/kg 体重とアルベンダゾール 400 mg を 2 日間連続投与;オキサンテルパモ酸塩 20 mg/kg 単回投与;アルベンダゾール 400 mg 単回投与;メベンダゾール 500 mg 単回投与.オキサンテルパモ酸塩とアルベンダゾールの併用の有効性と安全性プロファイルを,鞭虫感染の治療に用いた場合(主要転帰),および土壌伝播蠕虫同時感染の治療に用いた場合(副次的転帰)について評価した.有効性は,治癒率と虫卵減少率の評価により判定した.有害事象は薬剤投与後は 4 時点で評価した.

結 果

458 例から完全なデータが得られた.450 例が鞭虫,443 例が鉤虫,293 例が回虫に感染していた.オキサンテルパモ酸塩+アルベンダゾール群の鞭虫感染の治癒率はメベンダゾール群よりも有意に高く(31.2% 対 11.8%,P=0.001),虫卵減少率も同様であった(96.0% [95%信頼区間 {CI} 93.5~97.6] 対 75.0% [95% CI 64.2~82.0]).アルベンダゾール単剤群の治癒率(2.6%)と虫卵減少率(45.0%,95%CI 32.0~56.4)は,メベンダゾール群よりも有意に低かった(治癒率の比較について P=0.02).オキサンテルパモ酸塩単剤群は,鉤虫と回虫に対する有効性が低かった.有害事象(主に軽度)は,全体の 30.9%で報告された.

結 論

オキサンテルパモ酸塩とアルベンダゾールの併用投与により,鞭虫感染に対して,標準治療と比較して高い治癒率と虫卵減少率が得られた.(メディコル財団,スイス国立科学財団から研究助成を受けた.Current Controlled Trials 番号:ISRCTN54577342)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 610 - 20. )