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February 20, 2014 Vol. 370 No. 8

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鼓膜換気チューブ留置児における急性耳漏の治療試験
A Trial of Treatment for Acute Otorrhea in Children with Tympanostomy Tubes

T.M.A. van Dongen and Others

背景

鼓膜換気チューブ留置児における急性耳漏の管理に関する最近の指針は,経口抗菌薬と局所抗菌薬の比較試験の限られたエビデンスに基づいている.

方 法

非盲検実用的試験において,鼓膜換気チューブ留置後に急性耳漏が認められた 1~10 歳の小児 230 例を,ヒドロコルチゾン・バシトラシン・コリスチン配合点耳薬群(76 児),アモキシシリン・クラブラン酸懸濁液経口投与群(77 児),初期観察群(77 児)に無作為に割り付けた.主要評価項目は,割付けから 2 週間後の耳鏡検査で耳漏が認められることとした.副次的評価項目は,割付け後に耳漏の初回エピソードが発生するまでの期間,6 ヵ月の追跡期間における耳漏の発現日数の合計と耳漏の再発回数,QOL,合併症,治療に関連する有害事象とした.

結 果

抗菌薬・グルココルチコイド配合点耳薬は,すべての評価項目において経口抗菌薬,初期観察より有効であった.2 週間後の時点で耳漏が認められたのは,抗菌薬・グルココルチコイド配合点耳薬投与例で 5%であったのに対し,経口抗菌薬投与例では 44%(リスク差 -39 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -51~-26),初期観察が行われた例では 55%(リスク差 -49 パーセントポイント,95% CI -62~-37)であった.耳漏の初回エピソードが発生するまでの期間の中央値は,抗菌薬・グルココルチコイド配合点耳薬投与例で 4 日であったのに対し,経口抗菌薬投与例では 5 日(P<0.001),初期観察が行われた例では 12 日(P<0.001)であった.治療に関連する有害事象は軽度であり,2 週間後の時点では限局性蜂窩織炎,軟骨膜炎,乳様突起炎,頭蓋内合併症などの中耳炎の合併症は報告されなかった.

結 論

鼓膜換気チューブ留置児における,合併症を伴わない急性耳漏に対しては,抗菌薬・グルココルチコイド配合点耳薬は経口抗菌薬,初期観察よりも有効であった.(オランダ健康研究開発機構から研究助成を受けた.Netherlands Trial Register 番号:NTR1481)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 723 - 33. )