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October 9, 2014 Vol. 371 No. 15

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敗血症性ショックにおける輸血のヘモグロビン閾値の低値と高値の比較
Lower versus Higher Hemoglobin Threshold for Transfusion in Septic Shock

L.B. Holst and Others

背景

敗血症性ショック患者には輸血が行われることが多い.しかし,輸血のヘモグロビン閾値の違いによる利益と害は確立されていない.

方 法

多施設共同並行群間試験において,敗血症性ショックを呈し,ヘモグロビン濃度 9 g/dL 以下で集中治療室(ICU)に入室している患者を,ICU 入室中にヘモグロビン値が 7 g/dL 以下(低閾値)で白血球除去赤血球 1 単位の輸血を行う群と,9 g/dL 以下(高閾値)で行う群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,無作為化後 90 日までの死亡とした.

結 果

無作為化された 1,005 例のうち,998 例(99.3%)のデータを解析した.両介入群の患者背景は類似していた.ICU において,低閾値群は中央値 1 単位(四分位範囲 0~3)の輸血を受け,高閾値群は中央値 4 単位(四分位範囲 2~7)の輸血を受けた.無作為化後 90 日の時点で,低閾値群では 502 例中 216 例(43.0%)が死亡していたのに対し,高閾値群では 496 例中 223 例(45.0%)が死亡していた(相対リスク 0.94,95% CI 0.78~1.09,P=0.44).ベースラインの危険因子で補正した解析,および per-protocol 解析においても同様の結果であった.虚血性イベントが発現した患者数,重度の副作用が認められた患者数,救命処置を要した患者数は,両介入群で同程度であった.

結 論

敗血症性ショック患者において,ヘモグロビン閾値が高値での輸血に割り付けられた患者と,低値での輸血に割り付けられた患者とで,90 日死亡率,虚血性イベントの発現率,救命処置の施行率は同程度であり,低閾値群のほうが輸血の頻度は低かった.(デンマーク戦略的研究評議会ほかから研究助成を受けた.TRISS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01485315)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 1381 - 91. )