The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 17, 2014 Vol. 371 No. 3

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

高リスク患者における徐放性ナイアシンとラロピプラントの併用の効果
Effects of Extended-Release Niacin with Laropiprant in High-Risk Patients

The HPS2-THRIVE Collaborative Group

背景

血管疾患の所見が認められる患者では,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールを低下させるためにスタチンを効果的に使用しても,その後の血管イベントのリスクが高い.ナイアシンは,LDL コレステロールを低下させ,高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールを上昇させるが,臨床的有効性と安全性は明らかにされていない.

方 法

血管疾患を有する成人を対象として,無作為化前の導入期間に,基礎療法であるスタチンベースの LDL コレステロール低下療法を標準化し,徐放性ナイアシンを臨床的に重大な有害作用なく使用できるようにした後,25,673 例を,徐放性ナイアシン 2 g+ラロピプラント(laropiprant)40 mg を連日投与する群と,マッチさせたプラセボを連日投与する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は初回主要血管イベント(非致死的心筋梗塞,冠動脈疾患死亡,脳卒中,動脈血行再建)とした.

結 果

追跡期間中央値 3.9 年で,徐放性ナイアシン+ラロピプラント群では,プラセボ群と比較して LDL コレステロール値が平均 10 mg/dL(中央検査室での測定では 0.25 mmol/L)低く,HDL コレステロール値が平均 6 mg/dL(0.16 mmol/L)高かった.主要血管イベントの発生率には,ナイアシン+ラロピプラントへの割付けによって,プラセボへの割付けと比較して有意な影響は認められなかった(発生率はそれぞれ 13.2%と 13.7%,率比 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.90~1.03,P=0.29).ナイアシン+ラロピプラントは,糖尿病を有する患者では重篤と考えられる糖尿病コントロール障害の発生率の上昇に関連し(プラセボと比較した絶対過剰リスク 3.7 パーセントポイント,P<0.001),糖尿病を有しない患者では糖尿病新規診断率の上昇に関連した(絶対過剰リスク 1.3 パーセントポイント,P<0.001).また,ナイアシン+ラロピプラントは,重篤な有害事象として,消化器系有害事象(絶対過剰リスク 1.0 パーセントポイント,P<0.001),筋骨格系有害事象(絶対過剰リスク 0.7 パーセントポイント,P<0.001),皮膚関連有害事象(絶対過剰リスク 0.3 パーセントポイント,P=0.003),そして,予期しなかった感染症(絶対過剰リスク 1.4 パーセントポイント,P<0.001),出血(絶対過剰リスク 0.7 パーセントポイント,P<0.001)の増加にも関連した.

結 論

アテローム硬化性血管疾患を有する患者において,スタチンベースの LDL コレステロール低下療法に徐放性ナイアシン+ラロピプラントを追加しても,主要血管イベントのリスクは有意には低下せず,重篤な有害事象のリスクが上昇した.(Merck 社ほかから研究助成を受けた.HPS2-THRIVE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00461630)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 203 - 12. )