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December 4, 2014 Vol. 371 No. 23

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薬剤溶出性ステント留置後の抗血小板薬 2 剤併用療法期間の 12 ヵ月と 30 ヵ月との比較
Twelve or 30 Months of Dual Antiplatelet Therapy after Drug-Eluting Stents

L. Mauri and Others

背景

冠動脈ステント留置後は,血栓性合併症予防のため抗血小板薬 2 剤併用療法が推奨されているが,1 年を超えて行った場合の利益とリスクは明らかにされていない.

方 法

冠動脈ステント留置術にて薬剤溶出性ステントを留置された患者を登録した.チエノピリジン系薬(クロピドグレルまたはプラスグレル)とアスピリンによる治療を 12 ヵ月間行った後,患者をさらに 18 ヵ月間チエノピリジン投与を継続する群とプラセボ群に無作為に割り付けた.アスピリン投与は全例で継続した.複合主要有効性評価項目は,12 ヵ月目から 30 ヵ月目までの期間におけるステント血栓症と主要な心血管・脳血管有害事象(死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合)とした.主要安全性評価項目は中等度または重度の出血とした.

結 果

9,961 例をチエノピリジン継続群とプラセボ群に無作為に割り付けた.チエノピリジン継続群では,プラセボ群と比較して,ステント血栓症の発生率(0.4% 対 1.4%,ハザード比 0.29 [95%信頼区間 {CI} 0.17~0.48],P<0.001)と,主要な心血管・脳血管有害事象の発現率(4.3% 対 5.9%,ハザード比 0.71 [95% CI 0.59~0.85],P<0.001)が低下した.心筋梗塞の発生率は,チエノピリジン継続群のほうがプラセボ群よりも低かった(2.1% 対 4.1%,ハザード比 0.47,P<0.001).全死因死亡率は,チエノピリジン継続群 2.0%,プラセボ群 1.5%であった(ハザード比 1.36 [95% CI 1.00~1.85],P=0.05).中等度または重度の出血の発生率は,チエノピリジンの継続投与によって上昇した(2.5% 対 1.6%,P=0.001).両群とも,チエノピリジン投与中止後の 3 ヵ月間にステント血栓症と心筋梗塞のリスク上昇が認められた.

結 論

薬剤溶出性ステント留置後に抗血小板薬 2 剤併用療法を 1 年以上行うと,アスピリン療法単独の場合と比較して,ステント血栓症および主要な心血管・脳血管有害事象のリスクが有意に低下したが,出血のリスクの上昇との関連が認められた.(医療機器・医薬品製造業者 8 社のコンソーシアムほかから研究助成を受けた.DAPT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00977938)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 2155 - 66. )