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December 11, 2014 Vol. 371 No. 24

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特発性膜性腎症におけるトロンボスポンジン 1 型ドメイン含有 7A
Thrombospondin Type-1 Domain-Containing 7A in Idiopathic Membranous Nephropathy

N.M. Tomas and Others

背景

特発性膜性腎症は自己免疫疾患である.患者の約 70%に,ホスホリパーゼ A2 受容体 1(PLA2R1)に対する自己抗体との関連が認められているが,残りの患者では標的となる抗原は明らかにされていない.

方 法

特発性膜性腎症患者,その他の糸球体疾患患者,健常対照者の血清検体を対象に,ウエスタンブロット法を用いて,ヒト野生型糸球体蛋白に対する抗体のスクリーニングを行った.推定される新規抗原を部分精製し,切断して得られたペプチドの質量分析によってこの蛋白を同定し,さらに組換え蛋白発現の解析,免疫沈降法,免疫組織化学的解析により妥当性を確認した.

結 果

抗 PLA2R1 抗体陰性の特発性膜性腎症患者から成る,欧州コホート 44 例中 6 例と,ボストンコホート 110 例中 9 例の血清検体において,分子量 250 kD の糸球体蛋白が認められた.抗 PLA2R1 抗体陽性の特発性膜性腎症患者 74 例,その他の糸球体疾患患者 76 例,健常対照者 44 例の血清検体では,この抗原への反応はみられなかった.この新たに同定された抗原は,PLA2R1 とは明らかに異なるものであるが,N-グリコシル化,膜への局在,非還元条件下でのみの血清との反応性など,共通する生化学的特徴が認められた.質量分析によって,この抗原はトロンボスポンジン 1 型ドメイン含有 7A(THSD7A)であることが同定された.反応を示した血清検体はすべて,組換え THSD7A を認識し,糸球体溶解液から THSD7A が免疫沈降された. さらに, 患者の生検標本の免疫組織化学的解析により,THSD7A は足細胞に局在することが明らかになり,これらの標本の 1 つから溶出した IgG は THSD7A に特異的であった.

結 論

今回のコホートでは,特発性膜性腎症患者 154 例中 15 例が,血中に PLA2R1 に対する自己抗体を有しておらず,THSD7A に対する自己抗体を有していた.このことから,抗 THSD7A 抗体を有する患者は,この疾患における独自の患者サブグループであることが示唆される.(フランス国立科学研究センターほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 2277 - 87. )