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July 17, 2014 Vol. 371 No. 3

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アフリカにおける HIV 治療の第二選択としての抗レトロウイルスレジメンの評価
Assessment of Second-Line Antiretroviral Regimens for HIV Therapy in Africa

N.I. Paton and Others

背景

医療資源の限られた環境におけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染治療の第二選択として,ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)には継続してプロテアーゼ阻害薬を併用するレジメンがあるが,その場合の NRTI の有効性と毒性は明らかにされていない.NRTI を外すレジメンや,ラルテグラビルに置き換えるレジメンが有用である可能性がある.

方 法

サハラ以南のアフリカでの非盲検試験において,成人・青年の HIV 感染者で第一選択治療が失敗した 1,277 例を,リトナビルでブーストしたプロテアーゼ阻害薬(ロピナビル・リトナビル)+医師の選択した NRTI を投与する群(NRTI 群 426 例),優位性比較としてプロテアーゼ阻害薬+ラルテグラビルを投与する群(ラルテグラビル群 433 例),非劣性比較としてラルテグラビルによる 12 週間の導入療法後,プロテアーゼ阻害薬の単剤療法を行う群(単剤療法群 418 例)に無作為に割り付けた.主要複合評価項目,すなわち HIV 疾患の良好なコントロールは,世界保健機関(WHO)ステージ 4 のイベントが新たに生じない状態での生存,CD4+細胞数が 250/mm3 超,96 週目のウイルス量が 10,000 コピー/mL 未満,または 10,000 コピー/mL 以上の場合はプロテアーゼ耐性変異を伴わないこととし,欠測データは補完して(≦4%)解析を行った.

結 果

HIV 疾患の良好なコントロールが達成されたのは,NRTI 群 60%(平均 255 例),ラルテグラビル群 64%(平均 277 例)(NRTI 群との比較において P=0.21,ラルテグラビルの優位性は認められず),単剤療法群 55%(平均 232 例)(10 パーセントポイントの非劣性マージンに基づくと,単剤療法の非劣性は認められず)であった.グレード 3 または 4 の有害事象の発現率に 3 群間で有意差は認められなかった(P=0.82).ウイルス量が 400 コピー/mL 未満であった割合は,NRTI 群 86%,ラルテグラビル群 86%(P=0.97),単剤療法群 61%(P<0.001)であった.

結 論

NRTI は,第二選択治療としてプロテアーゼ阻害薬と併用した場合に,毒性の増加を伴わずに,高い抗ウイルス活性を保持していた.また,NRTI をラルテグラビルに置き換えても優位性は認められなかった.プロテアーゼ阻害薬の単剤療法は,ウイルス管理において劣性であった.(欧州・発展途上国臨床試験パートナーシップほかから研究助成を受けた.EARNEST 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN37737787,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00988039)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 234 - 47. )