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August 28, 2014 Vol. 371 No. 9

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家庭内接触者における中東呼吸器症候群コロナウイルスの伝播
Transmission of MERS-Coronavirus in Household Contacts

C. Drosten and Others

背景

中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の封じ込め戦略は,不顕性感染を含むヒトからヒトへの伝播率を明らかにすることにかかっている.血清検査ツールがないことで,伝播に関する標的を絞った研究が進まなかった.

方 法

MERS-CoV 感染の発端患者 26 例とその家庭内接触者 280 人を調査した.発端患者における症状発現から,接触者における直近の血液採取までの期間の中央値は 17.5 日(範囲 5~216 日,平均 34.4 日)であった.二次感染のほぼ確実例の同定は,咽頭スワブからの RNA 抽出を独立に行う 2 つの逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査における反応性と,MERS-CoV S1 抗原に対する酵素免疫測定法における反応性に基づいて行い,組換え S 蛋白に対する蛍光免疫法における反応性,およびプラーク減少中和試験における感染性ウイルスシード量の 50%以上の中和を補助的に用いた.

結 果

発端患者 26 例の家庭内接触者 280 人のうち,二次感染のほぼ確実例は 12 例であった(4%,95%信頼区間 2~7).そのうち,7 例は RT-PCR で同定され,検体はすべて発端患者の症状発現後 14 日以内に得られたものであった.残り 5 例は血清分析で同定され,検体はすべて発端患者の症状発現後 13 日以降に得られたものであった.二次感染のほぼ確実例は 26 の家庭内接触者集団のうち,6 集団(23%)で発生した.曝露後 13 日以降に検体が採取された接触者における血清検査の結果は,RT-PCR と血清検査を合わせたすべての結果と同様であった.

結 論

MERS-CoV 感染患者の家庭内接触者における二次感染率は約 5%であった.今回のデータから,家庭における MERS-CoV の不顕性感染の発生率に関する洞察が得られる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 828 - 35. )