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January 8, 2015 Vol. 372 No. 2

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生体腎ドナーにおける妊娠高血圧と妊娠高血圧腎症
Gestational Hypertension and Preeclampsia in Living Kidney Donors

A.X. Garg and Others

背景

生体腎ドナーになることを希望している若年女性は,腎摘出が将来の妊娠に影響を及ぼすかどうかを尋ねることが多い.

方 法

後ろ向きコホート研究において,生体腎ドナーの女性 85 例(コホート登録後の妊娠 131 件)を,一般集団の非ドナーの健常女性 510 例(コホート登録後の妊娠 788 件)と 1:6 の割合でマッチさせた.腎提供はカナダ・オンタリオ州で 1992~2009 年に行われ,リンクされた医療データベースを用いて 2013 年 3 月まで追跡された.ドナーと非ドナーは,年齢,コホート登録年,居住地(都市部または農村部),所得,登録前の妊娠回数,登録後最初の妊娠までの期間についてマッチさせた.主要評価項目は,病院で診断された妊娠高血圧または妊娠高血圧腎症とした.副次的評価項目は,個別に検討した主要評価項目の各項目と,その他の母体および胎児の転帰とした.

結 果

妊娠高血圧または妊娠高血圧腎症は,生体腎ドナーのほうが非ドナーよりも高頻度に認められた(発生数 妊娠 131 件中 15 例 [11%] 対 妊娠 788 件中 38 例 [5%],ドナーのオッズ比 2.4,95%信頼区間 1.2~5.0,P=0.01).主要評価項目の各項目も,ドナーのほうが高頻度に認められた(妊娠高血圧のオッズ比 2.5,妊娠高血圧腎症のオッズ比 2.4).ドナーと非ドナーとのあいだで,早産率(それぞれ 8%,7%),低出生体重児の割合(6%,4%)に有意差は認められなかった.ドナーでの妊産婦死亡,死産,新生児死亡は報告されなかった.大半の女性は,腎提供後に合併症を伴うことなく妊娠にいたった.

結 論

妊娠高血圧または妊娠高血圧腎症と診断される確率は,腎ドナーのほうが,ベースラインの健康指標が類似しているマッチさせた非ドナーよりも高かった.(カナダ保健研究機構ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 124 - 33. )