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April 2, 2015 Vol. 372 No. 14

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敗血症性ショックに対する早期目標指向型蘇生の試験
Trial of Early, Goal-Directed Resuscitation for Septic Shock

P.R. Mouncey and Others

背景

早期敗血症性ショックを呈する患者の蘇生について,国際ガイドラインでは早期目標指向型治療(EGDT)が推奨されている.しかし,実際の採用は少なく,その有効性は依然として不確かである.

方 法

イングランドの 56 病院で,費用対効果の総合解析も行う実践的無作為化試験を実施した.患者を,EGDT(6 時間蘇生プロトコール)を行う群と,通常ケアを行う群に無作為に割り付けた.主要臨床評価項目は 90 日の時点での全死因死亡率とした.

結 果

1,260 例を登録し,630 例を EGDT 群,630 例を通常ケア群に割り付けた.90 日目までに,EGDT 群の 623 例中 184 例(29.5%),通常ケア群の 620 例中 181 例(29.2%)が死亡し(EGDT 群の相対リスク 1.01,95%信頼区間 [CI] 0.85~1.20,P=0.90),EGDT 群における絶対リスク減少は-0.3 パーセントポイント(95% CI -5.4~4.7)であった.EGDT 群における治療強度の高さは,静脈内輸液,血管作動薬,赤血球輸血の使用頻度の高さから示され,通常ケアと比較して臓器不全スコアが有意に不良であること,高度心血管補助実施日数が多いこと,集中治療室(ICU)在室期間が長いことに反映された.健康関連 QOL を含むその他の副次的評価項目,および重篤な有害事象の発現率に有意差は認められなかった.平均費用は EGDT のほうが高く,費用対効果が優れていた確率は 20%未満であった.

結 論

敗血症性ショックが早期に同定され,抗菌薬静注および適切な輸液蘇生を受けた患者に対し,厳格な EGDT プロトコールに沿った血行力学的管理を行っても,転帰の改善はもたらされなかった.(英国国立健康研究所 医療技術評価プログラムから研究助成を受けた.ProMISe 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN36307479)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 1301 - 11. )