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April 23, 2015 Vol. 372 No. 17

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トリソミーの非侵襲的検査としての無細胞 DNA の解析
Cell-free DNA Analysis for Noninvasive Examination of Trisomy

M.E. Norton and Others

背景

胎児トリソミーの無細胞 DNA(cfDNA)検査は,高リスクの女性においては有効性が高い.しかし,出生前スクリーニングを受ける一般的な集団を対象として,cfDNA 検査と妊娠第 1 期に行う標準スクリーニングとを,十分な検出力のもとで直接比較した研究はほとんどない.

方 法

世界の 35 施設で実施した多施設共同前向き盲検試験において,妊娠 10~14 週の時点で異数性スクリーニングのために受診した妊娠女性に対し,標準スクリーニング(項部浮腫測定と生化学的検査による)と cfDNA 検査の両方を行った.参加者には標準スクリーニングの結果を知らせ,cfDNA 検査の結果は知らせなかった.出生転帰の判定は,診断的遺伝学的検査または新生児診察に基づいて行った.主要評価項目は,21 トリソミー(ダウン症候群)のスクリーニングにおける cfDNA 検査と標準スクリーニングとで比較した受信者動作特性曲線下面積(AUC)とした.cfDNA 検査と標準スクリーニングによる,18 トリソミー,13 トリソミーのリスク評価能についても検討した.

結 果

登録された 18,955 例中,15,841 例の結果を解析しえた.母親の平均年齢は 30.7 歳で,検査時の平均妊娠期間は 12.5 週であった.21 トリソミーのスクリーニングにおける AUC は,cfDNA 検査 0.999,標準スクリーニング 0.958 であった(P=0.001).21 トリソミーが検出されたのは,cfDNA 検査群では 38 例中 38 例(100%,95%信頼区間 [CI] 90.7~100)であったのに対し,標準スクリーニング群では 38 例中 30 例(78.9%,95% CI 62.7~90.4)であった(P=0.008).偽陽性率は,cfDNA 群 0.06%(95% CI 0.03~0.11),標準スクリーニング群 5.4%(95% CI 5.1~5.8)であった(P<0.001).陽性適中率は,cfDNA 検査 80.9%(95% CI 66.7~90.9)に対し,標準スクリーニング 3.4%(95% CI 2.3~4.8)であった(P<0.001).

結 論

一般的な出生前スクリーニング受診者の大規模な集団において,21 トリソミーの cfDNA 検査は,項部浮腫測定と生化学的検査による標準スクリーニングと比較して,感度が高く,偽陽性率が低く,陽性適中率が高かった.(Ariosa Diagnostics 社,周産期の質財団から研究助成を受けた.NEXT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01511458)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 1589 - 97. )