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April 23, 2015 Vol. 372 No. 17

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重症敗血症の定義における全身性炎症反応症候群の基準
Systemic Inflammatory Response Syndrome Criteria in Defining Severe Sepsis

K.-M. Kaukonen and Others

背景

米国胸部専門医学会(ACCP)と米国集中治療学会(SCCM)の合意声明による重症敗血症の定義は,感染症が疑われるか確定していること,臓器不全,全身性炎症反応症候群(SIRS)の基準を 2 つ以上満たしていることが要件とされている.われわれは,このアプローチの感度,表面的妥当性,構成概念妥当性を検証する目的で研究を行った.

方 法

2000~13 年に,オーストラリアとニュージーランドの 172 の集中治療室に入室した患者のデータを検討した.感染症と臓器不全が認められた患者を同定し,患者の徴候が SIRS 基準を 2 つ以上満たしている(SIRS 陽性重症敗血症)か,2 つ未満である(SIRS 陰性重症敗血症)かで分類した.これらの患者の患者背景と転帰を比較し,SIRS 基準 2 つという閾値で死亡リスク上昇への転移がみられるかどうかを評価した.

結 果

1,171,797 例のうち,109,663 例が感染症および臓器不全を有していたことが認められた.そのうち 96,385 例(87.9%)が SIRS 陽性重症敗血症,13,278 例(12.1%)が SIRS 陰性重症敗血症であった.14 年間で,2 群の患者背景は類似しており,死亡率の変化も同程度であった(SIRS 陽性群:36.1% [2,296 例中 829 例] から 18.3% [11,119 例中 2,037 例] へ低下,P<0.001;SIRS 陰性群:27.7% [361 例中 100 例] から 9.3% [1,315 例中 122 例] へ低下,P<0.001).さらに,このパターンは,患者背景による補正後も同様であった(SIRS 陽性群のオッズ比 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.96~0.97;SIRS 陰性群のオッズ比 0.96,95% CI 0.94~0.98;群間差について P=0.12).補正した解析では,死亡率は SIRS 基準が 1 つ増えるごとに直線的に上昇し(1 基準増加ごとのオッズ比 1.13,95% CI 1.11~1.15,P<0.001),SIRS 基準 2 つという閾値での,リスク上昇への転移は認められなかった.

結 論

重症敗血症の定義に SIRS 基準 2 つ以上という要件を加えた場合,それ以外は同様に感染症,臓器不全を呈し,死亡率が高い患者の 8 例に 1 例が除外された.死亡リスクの転移点を明らかにすることはできなかった.(オーストラリア・ニュージーランド集中治療研究センターから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 1629 - 38. )