The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 21, 2015 Vol. 372 No. 21

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

未治療の悪性黒色腫に対するニボルマブとイピリムマブ併用療法とイピリムマブ単独療法との比較
Nivolumab and Ipilimumab versus Ipilimumab in Untreated Melanoma

M.A. Postow and Others

背景

進行期悪性黒色腫患者を対象とした第 1 相用量漸増試験において,ニボルマブとイピリムマブ(ipilimumab)による T 細胞チェックポイント経路の同時阻害は,完全奏効を含む高い客観的奏効率に関連した.

方 法

治療歴のない転移性黒色腫患者 142 例を対象とした二重盲検試験で,患者を,イピリムマブ(3 mg/kg 体重)とニボルマブ(1 mg/kg)を投与する群と,イピリムマブ(3 mg/kg 体重)とプラセボを投与する群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.投与は 3 週ごとに 1 回,計 4 回行い,その後は病勢進行または忍容できない毒性が発現するまで,それぞれ 2 週ごとにニボルマブ(3 mg/kg),プラセボを投与した.主要評価項目は,BRAF V600 野生型腫瘍患者において,主治医評価により確認された客観的奏効率とした.

結 果

BRAF 野生型腫瘍患者において,確認された客観的奏効率は,イピリムマブ+ニボルマブ群(併用療法群)61%(72 例中 44 例)に対し,イピリムマブ+プラセボ群(イピリムマブ単独療法群)11%(37 例中 4 例)であり(P<0.001),完全奏効は併用療法群では 16 例(22%)報告されたが,イピリムマブ単独療法群では報告がなかった.両群とも奏効期間中央値は未到達であった.無増悪生存期間中央値は,併用療法群では未到達であったが,イピリムマブ単独療法群では 4.4 ヵ月であった(併用療法に関連した病勢進行または死亡のイピリムマブ単独療法に対するハザード比 0.40,95%信頼区間 0.23~0.68,P<0.001).BRAF 変異陽性腫瘍患者 33 例では,奏効率と無増悪生存期間に同様の結果が認められた.グレード 3 または 4 の薬剤関連有害事象の発現率は,併用投与例 54%に対し,イピリムマブ単独投与例 24%であった.免疫学的原因の可能性がある一部の有害事象は,第 1 相試験で認められたものと一致し,その大部分は免疫調節薬投与により消失した.

結 論

治療歴のない進行期悪性黒色腫患者において,イピリムマブとニボルマブの併用療法は,イピリムマブ単独療法と比較して客観的奏効率と無増悪生存期間が有意に改善した.併用療法は,忍容しうる安全性プロファイルを有した.(Bristol-Myers Squibb 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01927419)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 2006 - 17. )