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June 11, 2015 Vol. 372 No. 24

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組織プラスミノゲンアクチベータ静脈内投与後の脳梗塞患者におけるステント型血栓回収デバイスによる血栓除去の併用・非併用の比較
Stent-Retriever Thrombectomy after Intravenous t-PA vs. t-PA Alone in Stroke

J.L. Saver and Others

背景

前方循環の動脈近位部閉塞により急性期脳梗塞を発症した患者において,組織プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)静脈内投与単独で治療された場合に機能的自立度が回復する割合は 40%に満たない.t-PA 静脈内投与にステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去を追加することで再開通率が上昇することが示されており,長期の機能的転帰が改善する可能性がある.

方 法

脳梗塞を発症し t-PA の静脈内投与を受けているか,受けたことのある適格患者を,t-PA 投与単独を継続する群(対照群)と,発症から 6 時間以内にステント型血栓回収デバイスを用いた血管内血栓除去を行う群(介入群)に無作為に割り付けた.前方循環における動脈近位部閉塞であることと,大きな梗塞巣はないことを確認した.主要評価項目は,90 日の時点における全般的障害の重症度とし,修正 Rankin スケール(0 [症状なし]~6 [死亡])を用いて評価した.

結 果

試験は有効性の理由により,早期に中止された.39 施設で 196 例を無作為化した(各群 98 例).介入群では,画像診断特定から鼠径部穿刺までの時間の中央値は 57 分であり,手技終了時に高い再開通率が得られた患者の割合は 88%であった.ステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去と t-PA 静脈内投与の併用により,90 日の時点で,修正 Rankin スケールのスコア全体に障害の軽減が認められた(P<0.001).機能的自立(修正 Rankin スケールスコア 0~2)が認められた患者の割合は,介入群のほうが対照群よりも高かった(60% 対 35%,P<0.001).90 日死亡率(9% 対 12%,P=0.50),症候性脳内出血(0% 対 3%,P=0.12)に群間で有意差はなかった.

結 論

前方循環の動脈近位部閉塞による急性期脳梗塞に対して t-PA の静脈内投与を受けた患者では,発症から 6 時間以内にステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去を行うことで,90 日の時点での機能的転帰が改善した.(Covidien 社から研究助成を受けた.SWIFT PRIME 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01657461)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 2285 - 95. )