The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 18, 2015 Vol. 372 No. 25

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

急性冠症候群後のスタチン療法へのエゼチミブの追加
Ezetimibe Added to Statin Therapy after Acute Coronary Syndromes

C.P. Cannon and Others

背景

スタチン療法によって,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値と心血管イベントのリスクが低下するが,スタチン療法に小腸でのコレステロール吸収を抑制する非スタチン薬であるエゼチミブを追加した場合に,心血管イベントの発生率がさらに低下するかは明らかにされていない.

方 法

急性冠症候群で入院してから 10 日以内の患者で,LDL コレステロール値が,脂質低下療法を受けていた場合は 50~100 mg/dL(1.3~2.6 mmol/L),受けていなかった場合は 50~125 mg/dL(1.3~3.2 mmol/L)であった 18,144 例を対象に,二重盲検無作為化試験を行った.シンバスタチン(40 mg)とエゼチミブ(10 mg)の併用(シンバスタチン+エゼチミブ)を,シンバスタチン(40 mg)とプラセボ(シンバスタチン単独療法)と比較した.主要評価項目は,心血管死亡,非致死的心筋梗塞,再入院を要する不安定狭心症,冠血行再建(無作為化から 30 日以上経過後),非致死的脳卒中の複合とした.追跡期間中央値は 6 年であった.

結 果

試験期間中の LDL コレステロール値の時間加重平均の中央値は,シンバスタチン+エゼチミブ群 53.7 mg/dL(1.4 mmol/L)に対し,シンバスタチン単独療法群 69.5 mg/dL(1.8 mmol/L)であった(P<0.001).7 年の時点での Kaplan–Meier 法による主要評価項目のイベント発生率は,シンバスタチン+エゼチミブ群 32.7%に対し,シンバスタチン単独療法群 34.7%であった(絶対リスク差 2.0 パーセントポイント,ハザード比 0.936,95%信頼区間 0.89~0.99,P=0.016).事前に規定した筋肉,胆囊,肝臓への有害作用の発現率と癌の発生率は,両群で同程度であった.

結 論

エゼチミブをスタチン療法に追加することで,LDL コレステロール値の低下に増分が認められ,心血管転帰が改善した.また,LDL コレステロールをそれまでの目標値よりも低い値まで低下させることで,さらなる利益がもたらされた.(Merck 社から研究助成を受けた.IMPROVE-IT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00202878)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 2387 - 97. )