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January 29, 2015 Vol. 372 No. 5

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ACE 阻害薬誘発性血管浮腫に対するイカチバントの無作為化試験
A Randomized Trial of Icatibant in ACE-Inhibitor–Induced Angioedema

M. Baş and Others

背景

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を用いた治療により誘発される血管浮腫は,救急部における血管浮腫症例の 1/3 を占めており,通常は上気道と頭頸部に発現する.この生命を脅かす可能性のある病態に対して承認された治療法はない.

方 法

多施設共同無作為化二重盲検ダブルダミー第 2 相試験において,上部気道・消化管に ACE 阻害薬誘発性血管浮腫をきたした患者を,選択的ブラジキニン B2 受容体拮抗薬であるイカチバント(icatibant)30 mg を皮下投与する群と,現在の適応外の標準療法であるプレドニゾロン(500 mg)静注とクレマスチン(2 mg)投与を併用する群に割り付けた.主要有効性エンドポイントは,浮腫が完全に消失するまでの時間の中央値とした.

結 果

per-protocol 集団の 27 例全例で,浮腫の完全消失が認められた.完全消失までの時間の中央値は,イカチバント群では 8.0 時間(四分位範囲 3.0~16.0)であったのに対し,標準療法群では 27.1 時間(四分位範囲 20.3~48.0)であった(P=0.002).標準療法群の 3 例はイカチバントとプレドニゾロンによるレスキュー介入を必要とし,うち 1 例は気管切開をも必要とした.イカチバント群では標準療法群と比較して,治療後 4 時間以内に浮腫の完全消失が認められた患者が有意に多かった(13 例中 5 例 対 14 例中 0 例,P=0.02).症状が軽快し始めるまでの時間(試験医師の評価による複合的症状スコアに従う)の中央値は,イカチバント群のほうが標準療法群よりも有意に短かった(2.0 時間 対 11.7 時間,P=0.03).患者評価による症状スコアを用いた場合も,結果は同様であった.

結 論

ACE 阻害薬誘発性血管浮腫をきたした患者において,浮腫が完全に消失するまでの時間は,イカチバントを投与した場合のほうが,グルココルチコイドと抗ヒスタミン薬の併用療法よりも有意に短かった.(Shire 社,ドイツ連邦教育研究省から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01154361)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 418 - 25. )