February 5, 2015 Vol. 372 No. 6
アフリカ人女性におけるテノホビルをベースとした HIV 感染に対する曝露前予防
Tenofovir-Based Preexposure Prophylaxis for HIV Infection among African Women
J.M. Marrazzo and Others
妊娠可能年齢の女性では,ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染を予防するため,効果的な介入が必要である.
南アフリカ,ウガンダ,ジンバブエの女性を対象に,HIV-1 感染の曝露前予防として,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)経口投与,テノホビル・エムトリシタビン(TDF-FTC)経口投与,1%テノホビル(TFV)経腟ゲル投与のいずれかによる連日治療を評価する無作為化プラセボ対照試験を行った.HIV-1 検査を毎月行い,TFV の血漿中濃度を 3 ヵ月ごとに評価した.
スクリーニングした 12,320 例のうち,5,029 例を試験に登録した.試験維持率は,5,509 人年の追跡調査で 91%であった.HIV-1 感染は 312 例に発生し,感染の発生率は 5.7/100 人年であった.修正 intention-to-treat 解析では,TDF の有効性は -49.0%(感染に対するハザード比 1.49,95%信頼区間 [CI] 0.97~2.29),TDF-FTC は -4.4%(ハザード比 1.04,95% CI 0.73~1.49),TFV ゲルは 14.5%(ハザード比 0.85,95% CI 0.61~1.21)であった.無作為サブコホートでは,TDF 投与,TDF-FTC 投与,TFV ゲル投与に無作為に割り付けられた被験者の血漿検体中の TFV 検出率は,それぞれ,30%,29%,25%であった.TFV 検出の独立した予測因子は,既婚者であること,25 歳を超えていること,出産を 2 回以上経験していることであった.血漿中の TFV 検出率は,HIV-1 感染を予測する特性と負の相関を示した.血清クレアチニン値の上昇は,TDF-FTC 経口投与に無作為に割り付けられた被験者のほうが,プラセボ経口投与に無作為に割り付けられた被験者よりも多く認められた(1.3% 対 0.2%,P=0.004).その他の有害事象の頻度に有意差は認められなかった.
今回 intention-to-treat 解析で評価した薬剤レジメンでは,HIV-1 感染率は低下しなかった.試験薬に対する服薬アドヒアランスは低かった.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.VOICE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00705679)