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February 12, 2015 Vol. 372 No. 7

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変異の順序が骨髄増殖性腫瘍に及ぼす影響
Effect of Mutation Order on Myeloproliferative Neoplasms

C.A. Ortmann and Others

背景

癌は体細胞変異の蓄積によって発生し,その特性には,これらの変異の総和が反映されていると考えられる.しかし,変異が生じる順序がどのような影響を及ぼすかは,ほとんど明らかにされていない.

方 法

骨髄増殖性腫瘍患者において,造血コロニーの遺伝型決定または次世代シーケンシングにより,変異の順序を決定した.幹細胞と前駆細胞を分離し,変異が生じる順序が成熟造血細胞および未成熟造血細胞に及ぼす影響を検討した.

結 果

患者が骨髄増殖性腫瘍で受診した年齢,JAK2 V617F ホモ接合性の獲得,未成熟前駆細胞のバランスは,すべて変異の順序によって影響を受けた.TET2 変異が先に生じた患者(以下「TET2 変異先行患者」)と比較して,ヤヌスキナーゼ 2(JAK2)の変異が先に生じた患者(以下「JAK2 変異先行患者」)では,本態性血小板血症よりも真性多血症を呈する割合が高く,血栓症リスクが高く,in vitro での JAK2 変異前駆細胞のルキソリチニブに対する感受性が高かった.変異の順序は,JAK2 V617F に対する増殖反応と,二重変異造血細胞および前駆細胞のコロニー形成細胞産生能に影響を及ぼした.さらに,造血幹細胞および前駆細胞コンパートメントにおいて,TET2 変異先行患者では TET2 単一変異細胞が優勢であったが,JAK2 変異先行患者では JAK2–TET2 二重変異細胞が優勢であった.TET2 変異が先行した場合には,JAK2 V617F の転写結果が細胞固有の形で変化し,JAK2 V617F における増殖関連遺伝子のアップレギュレーションが妨げられた.

結 論

骨髄増殖性腫瘍患者において,JAK2 変異と TET2 変異が生じる順序は,臨床像,標的治療の効果,幹細胞および前駆細胞の生物学的特性,クローン進化に影響を及ぼした.(白血病・リンパ腫研究ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 601 - 12. )