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February 12, 2015 Vol. 372 No. 7

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HIV 陽性者–陽性者間の腎移植 ― 3~5 年後の成績
HIV-Positive–to–HIV-Positive Kidney Transplantation ― Results at 3 to 5 Years

E. Muller and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性患者が HIV 陰性ドナーから腎移植を受けた場合の転帰は,レシピエントが HIV 陰性の場合とほとんど変わらないことが報告されている.HIV 陽性の死体ドナーから腎移植を受けた HIV 陽性患者における,3~5 年後の転帰を報告する.

方 法

CD4 T 細胞数が 200/mm3 以上で,血漿中 HIV RNA 量が検出限界未満の HIV 感染患者における腎移植の,前向き非無作為化試験を行った.全例が抗レトロウイルス療法(ART)を受けていた.紹介時に行った第四世代の酵素免疫測定法(ELISA)による HIV 検査で陽性であった死体ドナーの腎臓が移植された.ドナーは全員が,ART を受けたことがなかったか,第一選択 ART のみを受けていた.

結 果

2008 年 9 月~2014 年 2 月に 27 例の HIV 陽性患者が腎移植を受けた.生存例を中央値 2.4 年間追跡した.生存率は 1 年の時点で 84%,3 年の時点で 84%,5 年の時点で 74%であった.移植腎生着率は 1 年の時点で 93%,3 年の時点で 84%,5 年の時点で 84%であった(移植腎が機能していた患者が死亡した場合は,移植腎は生着したものとして算出した).拒絶反応発生率は 1 年の時点で 8%,3 年の時点で 22%であった.HIV 感染に対するコントロールは良好に維持され,移植後は血中にウイルスが検出されなかった.

結 論

HIV 陽性ドナーからの腎移植は,腎代替療法を必要とする HIV 感染患者にとって,新たな治療選択肢になると考えられる.(Sanofi South Africa 社,ロシュ臓器移植研究財団から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 613 - 20. )