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February 19, 2015 Vol. 372 No. 8

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女性におけるヒトパピローマウイルスによる感染と上皮内腫瘍に対する 9 価ワクチン
A 9-Valent HPV Vaccine against Infection and Intraepithelial Neoplasia in Women

E.A. Joura and Others

背景

研究段階の 9 価ヒトパピローマウイルス(HPV)様粒子(9vHPV)ワクチンには,4 価 HPV(qHPV)ワクチンに含まれている HPV 型(6 型,11 型,16 型,18 型)のほかに,5 つの発癌性 HPV 型(31 型,33 型,45 型,52 型,58 型)が含まれている.われわれは,16~26 歳の女性を対象に 9vHPV ワクチンの有効性と免疫原性を検討した結果を報告する.

方 法

9vHPV ワクチンの多国間無作為化二重盲検第 2b/3 相試験を 14,215 例を対象に行った.参加者には,9vHPV ワクチンまたは qHPV ワクチンを,1 日目,2 ヵ月目,6 ヵ月目の計 3 回,筋肉内注射により接種した.血清を採取して抗体反応を解析した.陰唇,外陰,会陰,肛門周囲,子宮頸部,子宮腟部の組織を擦過により採取し,HPV DNA 検査を行い,液状化検体細胞診(パパニコロー検査)を定期的に行った.生検または根治治療(ループ式電気切除術,円錐切除術など)の一環として採取された組織の HPV 検査を行った.

結 果

修正 intention-to-treat 集団(HPV 感染歴や子宮頸疾患の有無を問わない参加者すべて)における,HPV 型を問わない子宮頸部,外陰,または腟の高悪性度病変(9vHPV ワクチンに含まれる HPV 型に起因する病変と,含まれていない HPV 型に起因する病変)の発生率は,両群とも 1,000 人年あたり 14.0 例であった.事前に規定した per-protocol 有効性集団(感受性集団)における,HPV 31 型,33 型,45 型,52 型,58 型に関連する子宮頸部,外陰,腟の高悪性度病変の発生率は,9vHPV 群で 1,000 人年あたり 0.1 例,qHPV 群で 1,000 人年あたり 1.6 例であった(9vHPV ワクチンの有効率 96.7%,95%信頼区間 80.9~99.8).HPV 6 型,11 型,16 型,18 型に対する抗体反応は,qHPV ワクチンによって生じる抗体反応と比較して非劣性であった.注射部位に関連する有害事象は,9vHPV 群のほうが qHPV 群よりも高頻度に認められた.

結 論

9vHPV ワクチンによって,感受性集団における HPV 31 型,33 型,45 型,52 型,58 型に関連する感染と疾患が予防され,HPV 6 型,11 型,16 型,18 型に対する抗体反応は,qHPV ワクチンによって生じる抗体反応と比較して非劣性であった.9vHPV ワクチンで予防される 9 つの HPV 型以外の型に関連する感染と疾患は,予防されなかった.(Merck 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00543543)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 711 - 23. )