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July 9, 2015 Vol. 373 No. 2

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慢性閉塞性肺疾患にいたる肺機能の推移
Lung-Function Trajectories Leading to Chronic Obstructive Pulmonary Disease

P. Lange and Others

背景

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,1 秒量(FEV1)の経年的低下が加速することに起因すると考えられている.しかし,最大到達 FEV1 が集団の標準を下回る人においては,FEV1 の低下率が正常範囲内であっても COPD にいたる可能性がある.

方 法

3 つの独立したコホート(フラミンガム第二世代コホート,コペンハーゲン市心臓研究,ラブレース喫煙者コホート)の参加者を,コホート登録開始時(平均年齢約 40 歳)の肺機能(FEV1 が予測値の 80%以上か 80%未満か)と,研究の最終受診時の COPD の有無により層別化した.続いて,コホート登録開始時の FEV1 と研究終了時の COPD の有無をもとに,参加者における FEV1 の経年的低下率を検討した.

結 果

平均 22 年間観察した時点で COPD を発症していたのは,40 歳前の FEV1 が予測値の 80%未満であった 657 例のうち 174 例(26%),80%以上であった 2,207 例のうち 158 例(7%)であった(P<0.001).観察期間終了時に COPD を発症していた 332 例のうち,約半数では 40 歳前の FEV1 は正常で,その後急速に低下した.低下率の平均(±SD)は 53±21 mL/年であった.残りの半数では,40 歳前の FEV1 が低く,喫煙曝露は同程度であったにもかかわらず,その後の FEV1 の低下率の平均は 27±18 mL/年であった(P<0.001).

結 論

この研究からは,成人早期の FEV1 が低いことが COPD の発症に重要であり,FEV1 の急速な低下は,COPD に必ずみられる特徴ではないことが示唆される.(GlaxoSmithKline 社ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 111 - 22. )