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October 1, 2015 Vol. 373 No. 14

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たばこのニコチン減量基準の無作為化試験
Randomized Trial of Reduced-Nicotine Standards for Cigarettes

E.C. Donny and Others

背景

米国食品医薬品局(FDA)は,たばこのニコチン含有量を減らす基準を設定することが可能である.

方 法

二重盲検並行群間無作為化臨床試験を,2013 年 6 月~2014 年 7 月に 10 施設で行った.適格基準は,18 歳以上で,喫煙本数が 1 日 5 本以上であり,現在は禁煙に関心がないことであった.被験者は,6 週間,常用している銘柄のたばこを喫煙する群,または 6 種類の評価対象のたばこのうちの 1 種類を喫煙する群に無作為に割り付けられた.評価対象のたばこは無料で提供された.評価対象のたばこでは,たばこのニコチン含有量は,15.8 mg/g(市販銘柄の典型的な含有量)から 0.4 mg/g の範囲であった.主要評価項目は,6 週目における 1 日あたりの喫煙本数とした.

結 果

840 例が無作為化され,780 例が 6 週間の試験を完了した.6 週目における 1 日あたりの平均喫煙本数は,ニコチン含有量 2.4 mg/g,1.3 mg/g,0.4 mg/g のたばこに無作為に割り付けられた被験者(それぞれ 16.5 本,16.3 本,14.9 本)のほうが,常用している銘柄のたばこまたはニコチン含有量 15.8 mg/g のたばこ(対照たばこ)に無作為に割り付けられた被験者(それぞれ 22.2 本,21.3 本)よりも少なかった(P<0.001).ニコチン含有量 5.2 mg/g のたばこに割り付けられた被験者における 1 日あたりの平均喫煙本数は 20.8 本で,対照たばこを喫煙した被験者との有意差は認められなかった.ニコチン含有量がより少ないたばこは,対照たばこと比較して,ニコチン曝露とニコチン依存,喫煙制限中のニコチン欲求を低下させた一方で,呼気一酸化炭素濃度,総吸煙量に有意な増加はみられなかったことから,代償作用は最小限であったことが示唆された.有害事象は概して軽度であり,群間で同程度であった.

結 論

6 週間の試験において,ニコチン含有量を減らしたたばこは,標準的なニコチン含有量のたばこと比較して,ニコチン曝露とニコチン依存,および喫煙本数を低減させた.(米国国立薬物乱用研究所と米国食品医薬品局たばこ製品センターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01681875)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 1340 - 9. )