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November 12, 2015 Vol. 373 No. 20

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冠動脈疾患に対するエベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド
Everolimus-Eluting Bioresorbable Scaffolds for Coronary Artery Disease

S.G. Ellis and Others

背景

金属製の薬剤溶出冠動脈ステント留置を受ける冠動脈疾患患者において,遅発性の標的病変不全などの有害事象には,金属ステントのフレームが冠動脈壁内に永続的に存在していることが一部関係している可能性がある.長期転帰を改善するために,生体吸収性血管スキャフォールドが開発されている.

方 法

大規模多施設共同無作為化試験において,安定または不安定狭心症の患者 2,008 例を,エベロリムス溶出生体吸収性血管(Absorb)スキャフォールド(1,322 例)の留置を受ける群と,エベロリムス溶出コバルトクロム合金(Xience)ステント(686 例)の留置を受ける群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,1 年の時点での標的病変不全(心臓死,標的血管心筋梗塞,虚血による標的病変血行再建)とし,非劣性(リスク差についてマージン 4.5 パーセントポイント)と優越性の両方について検討することとした.

結 果

1 年の時点での標的病変不全は,Absorb 群の 7.8%,Xience 群の 6.1%で発生した(差 1.7 パーセントポイント;95%信頼区間 -0.5~3.9;非劣性について P=0.007,優越性について P=0.16).Absorb 群と Xience 群とのあいだで,心臓死の発生率(それぞれ 0.6%と 0.1%,P=0.29),標的血管心筋梗塞の発生率(それぞれ 6.0%と 4.6%,P=0.18),虚血による標的病変血行再建術の施行率(それぞれ 3.0%と 2.5%,P=0.50)に有意差はなかった.1 年以内のデバイス血栓症は,Absorb 群の 1.5%と Xience 群の 0.7%で発生した(P=0.13).

結 論

大規模無作為化試験において,非複雑性閉塞性冠動脈疾患に対するエベロリムス溶出生体吸収性血管スキャフォールドによる治療は,エベロリムス溶出コバルトクロム合金ステントと比較して,1 年の時点での標的病変不全に関して,事前に規定した非劣性マージンの範囲内であった.(Abbott Vascular 社から研究助成を受けた.ABSORB III 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01751906)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 1905 - 15. )