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November 12, 2015 Vol. 373 No. 20

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安定虚血性心疾患の患者における PCI の長期生存に対する影響
Effect of PCI on Long-Term Survival in Patients with Stable Ischemic Heart Disease

S.P. Sedlis and Others

背景

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は安定虚血性心疾患患者の狭心症を軽減させるが,臨床試験では生存が改善することは示されていない.1999 年 6 月~2004 年 1 月に,安定虚血性心疾患患者 2,287 例を,初期管理戦略として至適薬物治療のみを行う群(薬物治療群)と,至適薬物治療と PCI を施行する群(PCI 群)に無作為に割り付けたところ,追跡期間中央値 4.6 年の時点での生存率に有意差は認められなかった.今回,最長 15 年間追跡した患者の生存率を報告する.

方 法

米国退役軍人省(Department of Veterans Affairs:VA)の施設および VA 以外の米国のいくつかの施設の患者から,患者の社会保障番号を使用する許可を得て,もとの試験期間の終了後の生存を追跡した.生存情報と,死亡例については原因を問わず死亡した日付を入手するため,VA の全米コーポレートデータウェアハウス(Corporate Data Warehouse)および全米死亡記録(National Death Index)を検索した.生存率は Kaplan–Meier 法により算出し,患者背景における群間の有意差の補正には Cox 比例ハザードモデルを用いた.

結 果

その後の生存に関する情報は 1,211 例(もとの集団の 53%)で入手できた.延長追跡の有無を問わず,すべての患者の追跡期間中央値は 6.2 年(0~15)であり,生存の追跡の許可が得られた施設の患者の追跡期間中央値は 11.9 年(0~15)であった.561 例(もとの試験の追跡期間中は 180 例,延長追跡期間中は 381 例)が死亡した.内訳は PCI 群 284 例(25%),薬物治療群 277 例(24%)であった(補正ハザード比 1.03,95%信頼区間 0.83~1.21,P=0.76).

結 論

最長 15 年間の延長追跡調査で,安定虚血性心疾患患者の初期治療戦略として PCI と薬物治療を行った群と薬物治療のみを行った群とで,生存に差は認められなかった.(米国退役軍人省共同研究プログラムほかから研究助成を受けた.COURAGE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00007657)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 1937 - 46. )