Phe508del CFTR ホモ接合体による囊胞性線維症の患者に対するルマカフトールとアイバカフトールの併用
Lumacaftor–Ivacaftor in Patients with Cystic Fibrosis Homozygous for Phe508del CFTR
C.E. Wainwright and Others
囊胞性線維症は,囊胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)蛋白活性の欠損または低下に起因する,生命予後の短い疾患である.Phe508del は,もっとも頻度の高い CFTR 変異である.
Phe508del CFTR 変異のホモ接合体を有する 12 歳以上の囊胞性線維症患者を対象に,CFTR 矯正薬ルマカフトール(lumacaftor)(VX-809)を,CFTR 増強薬アイバカフトール(ivacaftor)(VX-770)と併用した場合の効果を評価することを目的として,2 つの第 3 相無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.両試験とも,患者を,ルマカフトールのいずれかの用量(600 mg を 1 日 1 回または 400 mg を 12 時間ごと)とアイバカフトール(250 mg を 12 時間ごと)を併用する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に(1:1:1 の割合で)無作為に割り付け,24 週間投与を行った.主要評価項目は,24 週の時点での 1 秒量(FEV1)の予測値に対する割合の,ベースラインからの絶対的変化とした.
無作為化された 1,122 例のうち,1,108 例が試験薬を 1 回以上投与された.ベースラインの FEV1 の平均は予測値の 61%であった.いずれの試験でも,ルマカフトール+アイバカフトールの 2 群において,主要評価項目の有意な改善が認められた.実薬治療とプラセボとで,FEV1 の予測値に対する割合の絶対的改善の平均には 2.6~4.0 パーセントポイントの差があり(P<0.001),相対的変化の平均では 4.3~6.7%に相当した(P<0.001).プール解析では,ルマカフトール+アイバカフトールの 2 群では,肺疾患の増悪率がプラセボ群よりも 30~39%低いことが示された.入院または抗菌薬静注にいたる事象の発現率も,ルマカフトール+アイバカフトール群のほうが低かった.有害事象の発現率は,ルマカフトール+アイバカフトール群とプラセボ群とでおおむね同程度であった.有害事象による中止率は,ルマカフトール+アイバカフトール投与例では 4.2%であったのに対し,プラセボ投与例では 1.6%であった.
これらのデータから,Phe508del CFTR 変異ホモ接合体による囊胞性線維症の患者に対するルマカフトールのアイバカフトールとの併用は有用であることが示された.(Vertex Pharmaceuticals 社ほかから研究助成を受けた.TRAFFIC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01807923,TRANSPORT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01807949)