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December 3, 2015 Vol. 373 No. 23

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IgA 腎症に対する積極的支持療法と免疫抑制療法の併用
Intensive Supportive Care plus Immunosuppression in IgA Nephropathy

T. Rauen and Others

背景

IgA 腎症患者において,支持療法に免疫抑制療法を追加した場合の転帰は明らかではない.

方 法

2 群並行,群逐次デザインの多施設共同非盲検無作為化対照試験を行った.6 ヵ月の導入期間中は,蛋白尿に基づいて支持療法(とくにレニン–アンジオテンシン系阻害薬の用量)の調整を行った.持続性蛋白尿(1 日尿蛋白排泄量≧0.75 g)を認める患者を,3 年間支持療法を単独で行う群(支持療法群)と,支持療法と免疫抑制療法を併用する群(免疫抑制療法群)に無作為に割り付けた.階層的主要エンドポイントは,試験終了時の臨床的完全寛解(蛋白/クレアチニン比<0.2 [蛋白,クレアチニンとも g 単位で測定],推算糸球体濾過量 [eGFR] のベースラインからの低下が<5 mL/分/1.73 m2 体表面積)と,試験終了時の eGFR が 15 mL/分/1.73 m2 以上低下していることとした.主要エンドポイントの解析にはロジスティック回帰モデルを用いた.

結 果

337 例中 309 例が導入期を完了した.94 例では尿蛋白が 1 日尿蛋白排泄量 0.75 g 未満まで減少した.残りの患者で無作為化を受けることに同意した 162 例のうち,80 例が支持療法群,82 例が免疫抑制療法群に割り付けられた.3 年後に臨床的完全寛解が得られた患者は,支持療法群では 4 例(5%)であったのに対し,免疫抑制療法群では 14 例(17%)であった(P=0.01).eGFR が 15 mL/分/1.73 m2 以上低下した患者は,支持療法群では 22 例(28%),免疫抑制療法群では 21 例(26%)であった(P=0.75).eGFR の年間低下率に群間で有意差は認められなかった.免疫抑制療法群では,重度の感染症,糖代謝異常,最初の 1 年間における 5 kg 以上の体重増加が支持療法群よりも多くみられた.免疫抑制療法群の 1 例が敗血症で死亡した.

結 論

高リスクの IgA 腎症患者において,積極的支持療法に免疫抑制療法を追加しても転帰に有意な改善はみられず,免疫抑制療法を受けた患者では 3 年の試験期間中に有害作用がより多く観察され,eGFR 低下率の変化は認められなかった.(ドイツ連邦教育研究省から研究助成を受けた.STOP-IgAN 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00554502)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 2225 - 36. )