The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 17, 2015 Vol. 373 No. 25

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

第 Xa 因子阻害薬の活性中和のためのアンデキサネットアルファ
Andexanet Alfa for the Reversal of Factor Xa Inhibitor Activity

D.M. Siegal and Others

背景

第 Xa 因子阻害薬による治療の合併症に出血があるが,その作用を中和する特異的な薬剤はない. アンデキサネット(andexanet)は,第 Xa 因子阻害薬の抗凝固作用を中和するようにデザインされている.

方 法

健常高齢者のボランティアに,アピキサバン 5 mg を 1 日 2 回,またはリバーロキサバン 20 mg を 1 日 1 回投与した.それぞれの第 Xa 因子阻害薬について,2 部構成の無作為化プラセボ対照試験を行い,アンデキサネットのボーラス投与と,ボーラス投与+2 時間静注投与を評価した.主要評価項目は,抗凝固薬による第 Xa 因子阻害の指標である,抗第 Xa 因子活性の変化(%)の平均とした.

結 果

アピキサバン投与例では,抗第 Xa 因子活性はアンデキサネットのボーラス投与群(24 例)では 94%低下したのに対し,プラセボ群(9 例)では 21%低下し(P<0.001),非結合型アピキサバン濃度はそれぞれ 9.3 ng/mL,1.9 ng/mL 減少した(P<0.001).トロンビン生成が 2~5 分以内に完全に回復したのはそれぞれ 100%,11%であった(P<0.001).リバーロキサバン投与例では,抗第 Xa 因子活性はアンデキサネットのボーラス投与群(27 例)では 92%低下したのに対し,プラセボ群(14 例)では 18%低下し(P<0.001),非結合型リバーロキサバン濃度はそれぞれ 23.4 ng/mL,4.2 ng/mL 減少した(P<0.001).トロンビン生成が完全に回復したのはそれぞれ 96%,7%であった(P<0.001).これらの作用は,アンデキサネットをボーラス+静注で投与した場合に持続した.サブグループでは,D ダイマー,プロトロンビンフラグメント 1,2 の値の一過性上昇が観察されたが,24~72 時間以内に回復した.重篤な有害事象や血栓イベントは報告されなかった.

結 論

健常高齢者において,アンデキサネットは,アピキサバンとリバーロキサバンの抗凝固活性を投与後数分以内に中和し,静注中はその作用が持続した.臨床的な毒性を示すエビデンスは認められなかった.(Portola Pharmaceuticals 社ほかから研究助成を受けた.ANNEXA-A 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02207725,ANNEXA-R 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02220725)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 2413 - 24. )