December 24, 2015 Vol. 373 No. 26
クラミジア・トラコマティスによる泌尿生殖器感染症に対するアジスロマイシンとドキシサイクリンとの比較
Azithromycin versus Doxycycline for Urogenital Chlamydia trachomatis Infection
W.M. Geisler and Others
クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)による泌尿生殖器感染症の有病率は高く,生殖障害の発生率も高い.最近の研究で,クラミジア感染症に対するアジスロマイシンの有効性に懸念が提起された.
クラミジア泌尿生殖器感染症の治療におけるアジスロマイシンのドキシサイクリンに対する非劣性を評価する目的で,青少年矯正施設の青年期患者において,経口アジスロマイシン(1 g 単回投与)と経口ドキシサイクリン(100 mg 1 日 2 回投与を 7 日間)を比較する無作為化試験を行った.治療は直接監視下で行った.主要エンドポイントは,治療開始後 28 日の時点での治療失敗とし,治療失敗は,核酸増幅検査,性行為歴,クラミジア・トラコマティス株の外膜蛋白 A(OmpA)遺伝子型の決定に基づいて判定した.
登録した 567 例のうち,284 例をアジスロマイシン投与群に,283 例をドキシサイクリン投与群に無作為に割り付けた.per-protocol 集団は,各群 155 例(男性 65%)で構成された.ドキシサイクリン群で治療失敗は認められなかった.アジスロマイシン群では治療失敗は 5 例に認められた(3.2%,95%信頼区間 0.4~7.4).群間で認められた治療失敗率の差は 3.2 パーセントポイントで,90%信頼区間の上限が 5.9 パーセントポイントとなり,アジスロマイシンの非劣性を立証するために事前に規定した絶対差 5 パーセントポイントのカットオフ値を上回った.
クラミジア泌尿生殖器感染症に対し,直接監視下で治療を受けた限られた集団において,アジスロマイシンの有効性は 97%,ドキシサイクリンの有効性は 100%であった.この設定では,アジスロマイシンの非劣性は立証されなかった.(米国国立アレルギー感染症研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00980148)