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July 23, 2015 Vol. 373 No. 4

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早期乳癌に対するリンパ節領域照射
Regional Nodal Irradiation in Early-Stage Breast Cancer

T.J. Whelan and Others

背景

乳房温存手術を受ける乳癌女性の大多数には,全乳房照射が行われる.われわれは,全乳房照射にリンパ節領域照射を追加することで,転帰が改善されるかどうかを検討した.

方 法

リンパ節転移陽性乳癌またはリンパ節転移陰性高リスク乳癌で,乳房温存手術と全身的補助療法を受けた女性を,全乳房照射+リンパ節領域照射(胸骨傍リンパ節,鎖骨上リンパ節,腋窩リンパ節を含む)を行う群(リンパ節照射群)と,全乳房照射のみを行う群(対照群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は全生存とした.副次的評価項目は,無病生存,遠隔転移を認めない局所無再発生存,遠隔無病生存とした.

結 果

2000 年 3 月~2007 年 2 月に,1,832 例をリンパ節照射群または対照群に割り付けた(各群 916 例).追跡期間中央値は 9.5 年であった.追跡期間 10 年の時点で,生存率はリンパ節照射群 82.8%,対照群 81.8%で,有意差は認められなかった(ハザード比 0.91,95%信頼区間 [CI] 0.72~1.13,P=0.38).無病生存率は,リンパ節照射群 82.0%,対照群 77.0%であった(ハザード比 0.76,95% CI 0.61~0.94,P=0.01).リンパ節照射群では,グレード 2 以上の急性肺炎の発症率(1.2% 対 0.2%,P=0.01),リンパ浮腫の発現率(8.4% 対 4.5%,P=0.001)がより高かった.

結 論

リンパ節転移陽性乳癌またはリンパ節転移陰性高リスク乳癌の女性において,リンパ節領域照射を全乳房照射に追加することで,全生存は改善されなかったが,乳癌再発率が低下した.(カナダ対がん協会研究所ほかから研究助成を受けた.MA.20 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00005957)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 307 - 16. )