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July 23, 2015 Vol. 373 No. 4

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メディケア集団における腹部大動脈瘤の長期転帰
Long-Term Outcomes of Abdominal Aortic Aneurysm in the Medicare Population

M.L. Schermerhorn and Others

背景

無作為化試験,観察研究により,腹部大動脈瘤に対する血管内治療は,開腹手術と比較して周術期の合併症発生率と死亡率が低いが,生存率への利益は持続しないことが示されている.さらに,血管内治療後の動脈瘤破裂の長期リスクや再介入の必要性について,懸念が生じている.

方 法

2001~08 年に腹部大動脈瘤の修復術を受け,2009 年まで追跡しえたメディケア受給者の傾向スコアをマッチさせたコホートにおいて,血管内治療を受けた患者における周術期・長期の生存,再介入,合併症を,開腹手術を受けた患者と比較評価した.

結 果

開腹手術を受けた患者と血管内治療を受けた患者をマッチさせ,39,966 組を同定した.周術期の全死亡率は,血管内治療コホートでは 1.6%であったのに対し,開腹手術コホートでは 5.2%であった(P<0.001).2001 年から 2008 年にかけて,周術期死亡率は,血管内治療コホートでは 0.8 パーセントポイント低下し(P=0.001),開腹手術コホートでは 0.6 パーセントポイント低下した(P=0.01).血管内治療から開腹手術への移行率は,2001 年の 2.2%から,2008 年には 0.3%に低下した(P<0.001).生存率は,追跡期間の最初の 3 年間は血管内治療コホートのほうが開腹手術コホートよりも有意に高かったが,その後の生存率は同程度であった.8 年間の追跡期間で,動脈瘤またはその合併症の管理に関連する介入は,血管内治療コホートのほうが頻度が高かったが,開腹手術コホートでは開腹術に関連する合併症に対する介入の頻度が高かった.8 年間の追跡期間で,動脈瘤破裂率は,血管内治療コホートでは 5.4%であったのに対し,開腹手術コホートでは 1.4%であった(P<0.001).血管内治療後 2 年の時点における全再介入率は経時的に低下した(2001 年に治療を受けた患者では 10.4%であったが,2007 年に治療を受けた患者では 9.1%であった).

結 論

腹部大動脈瘤に対する血管内治療は,開腹手術と比較して,術後早期の生存率への利益は大きかったが,経時的に漸減した.遠隔期破裂率は,血管内治療後のほうが開腹手術後よりも有意に高かった.血管内治療の転帰には経時的な改善が認められた.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 328 - 38. )