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July 30, 2015 Vol. 373 No. 5

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米国の成人における入院を要する市中肺炎
Community-Acquired Pneumonia Requiring Hospitalization among U.S. Adults

S. Jain and Others

背景

市中肺炎は,米国成人の入院と死亡の主な原因の一つの,感染症である.X 線および最新の臨床診断検査で確認された肺炎の,推定発生率が求められている.

方 法

シカゴとナッシュビルにある 5 病院で,18 歳以上の成人における入院を要する市中肺炎について,人口ベースの積極的サーベイランスを行った.最近入院していた患者,高度の免疫抑制状態にある患者は除外した.培養,血清学的検査,抗原検出,分子診断検査を行うために,血液検体,尿検体,呼吸器検体を系統的に収集した.研究に参加した放射線科医が,胸部 X 線写真を独立に再検討した.入院を要する市中肺炎の人口ベースの発生率を,年齢別,病原体別に算出した.

結 果

2010 年 1 月~2012 年 6 月に,適格であった 3,634 例のうち 2,488 例(68%)を登録した.X 線で肺炎の所見が認められたのは 2,320 例(93%)で,年齢中央値は 57 歳(四分位範囲 46~71)であり,498 例(21%)が集中治療を要し,52 例(2%)が死亡した.X 線で肺炎の所見が認められ,細菌検査とウイルス検査の両方に必要な検体が利用可能であった 2,259 例のうち,病原体は 853 例(38%)で検出された.内訳は 1 種類以上のウイルスが 530 例(23%),細菌が 247 例(11%),細菌性病原体とウイルス性病原体が 59 例(3%),真菌性病原体またはマイコバクテリア病原体が 17 例(1%)であった.検出された病原体で多かったのは,ヒトライノウイルス(患者の 9%),インフルエンザウイルス(6%),肺炎球菌(5%)であった.肺炎の年間発生率は成人 10,000 人あたり 24.8 例(95%信頼区間 23.5~26.1)で,65~79 歳(成人 10,000 人あたり 63.0 例)と 80 歳以上(成人 10,000 人あたり 164.3 例)でとくに高かった.病原体別にみると,発生率は年齢とともに上昇した.

結 論

入院を要する市中肺炎の発生率は,もっとも高い年齢層でもっとも高かった.最新の診断検査を用いたにもかかわらず,患者の大半で病原体は検出されなかった.呼吸器系ウイルスが細菌よりも高頻度に検出された.(米国予防接種・呼吸器疾患センターのインフルエンザ部門から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 415 - 27. )