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August 6, 2015 Vol. 373 No. 6

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乳癌における切除腔薄切マージンの無作為化対照試験
A Randomized, Controlled Trial of Cavity Shave Margins in Breast Cancer

A.B. Chagpar and Others

背景

乳癌に対して乳房部分切除を受ける患者において,切除腔薄切マージン(乳房部分切除により生じた切除腔の全周組織)の切除をルーチンに行うことで,断端陽性率(断端に腫瘍が認められる割合)と再切除率が低下する可能性がある.

方 法

無作為化対照試験において,0 期~III 期の乳癌で,選択的マージン切除を行うかどうかを問わず,乳房部分切除を受ける患者 235 例を,1:1 の割合で,切除腔の全周組織を薄切する群(薄切群)と薄切しない群(非薄切群)に割り付けた.無作為化は,手術中に,外科医が標準的乳房部分切除を終えた後に行われた.断端陽性の定義は,浸潤性乳管癌の場合は切除断端に腫瘍が接触していること,非浸潤性乳管癌の場合は切除断端から 1 mm 以内に腫瘍を認めることとした.主要評価項目は断端陽性率とした.副次的評価項目は,整容性,切除組織量などとした.

結 果

患者の年齢の中央値は 61 歳(範囲 33~94)であった.最終の病理検査で,浸潤性乳管癌が 54 例(23%),非浸潤性乳管癌が 45 例(19%),それらの両方が 125 例(53%)に認められ,11 例には腫瘍が認められなかった.腫瘍最大径の中央値は,浸潤性乳管癌患者では 1.1 cm(0~6.5),非浸潤性乳管癌患者では 1.0 cm(0~9.3)であった.ベースラインにおける人口統計学的特性と臨床病理学的特性は両群でよく一致していた.乳房部分切除後(無作為化前)の断端陽性率は,薄切群と非薄切群とで同程度であった(それぞれ 36%と 34%,P=0.69).無作為化後の断端陽性率は,薄切群のほうが非薄切群よりも有意に低く(19% 対 34%,P=0.01),断端陰性化のための再手術率も低かった(10% 対 21%,P=0.02).合併症に群間で有意差は認められなかった.

結 論

乳房部分切除を受けた患者において,切除腔を薄切することで,断端陽性率と再切除率が半減した.(イエールがんセンターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01452399)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 503 - 10. )