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August 13, 2015 Vol. 373 No. 7

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HLA-DP の高発現と移植片対宿主病
High HLA-DP Expression and Graft-versus-Host Disease

E.W. Petersdorf and Others

背景

非血縁ドナーからの造血細胞移植によって,血液疾患が治癒する可能性があるが,急性移植片対宿主病(GVHD)という重大なリスクを伴う.GVHD のリスクはレシピエントとドナーで HLA-DPB1 が不適合の場合に高くなるが,GVHD を起こす機序は明らかではない.HLA-DPB1 調節領域における多様体 rs9277534 は,HLA-DPB1 の発現と関連している.われわれは,GVHD のリスクは,レシピエントにおける不適合 HLA-DPB1 に連鎖している rs9277534 アレルと相関するという仮説を検証した.

方 法

rs9277534-DPB1 ハプロタイプを明らかにするために,3,505 例で rs9277534 の遺伝子型を決定した.HLA-A,B,C,DRB1,DQB1 は適合し,1 個の HLA-DPB1 のみが不適合の非血縁ドナーから移植を受けたレシピエント 1,441 例において,rs9277534 A アレル,G アレルの不適合 HLA-DPB1 への連鎖が明らかになった.HLA-DPB1 の発現は,定量的ポリメラーゼ連鎖反応アッセイを用いて評価した.不適合 HLA-DPB1 アレルが rs9277534G と連鎖しているレシピエント(高発現)と,不適合 HLA-DPB1 アレルが rs9277534A と連鎖しているレシピエント(低発現)とで急性 GVHD のリスクを比較した.

結 果

HLA-DPB1 平均発現量は,rs9277534A のほうが rs9277534G よりも低かった.rs9277534A 連鎖 HLA-DPB1 ドナーから移植を受けたレシピエントのうち,急性 GVHD のリスクは,rs9277534G 連鎖 HLA-DPB1 不適合レシピエントのほうが,rs9277534A 連鎖 HLA-DPB1 不適合レシピエントよりも高く(ハザード比 1.54,95%信頼区間 [CI] 1.25~1.89,P<0.001),血液疾患再発以外の原因による死亡のリスクも同様であった(ハザード比 1.25,95% CI 1.00~1.57,P=0.05).

結 論

HLA-DPB1 不適合に関連する GVHD のリスクは,HLA-DPB1 rs9277534 の発現マーカーに影響された.低発現アレルを有するドナーから HLA-DPB1 不適合移植を受けたレシピエントにおいて,高発現アレルを有するレシピエントは,GVHD のリスクが高かった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 599 - 609. )