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August 13, 2015 Vol. 373 No. 7

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分娩時胎児心電図 ST 部分解析に関する無作為化試験
A Randomized Trial of Intrapartum Fetal ECG ST-Segment Analysis

M.A. Belfort and Others

背景

従来の分娩時電気的胎児心拍数モニタリングの補助として,胎児心電図 ST 部分解析を用いることで,分娩転帰と新生児転帰に変化がみられるかどうかは明らかではない.

方 法

多施設共同試験において,妊娠 36 週以降の単胎妊娠で,経腟分娩を予定しており,子宮口開大が 2~7 cm の女性を,胎児 ST 部分解析を行うモニタリングを,「非盲検」モードで行う群と「盲検」モードで行う群に無作為に割り付けた.盲検モードのシステムは,従来の胎児心拍数モニターとして機能した.非盲検モードのシステムでは,不確定な胎児心拍数パターンが検出された場合,心電図 ST 情報が表示され,利用することができた.主要転帰は,分娩時の胎児死亡,新生児死亡,5 分後アプガースコア 3 点以下,新生児痙攣,12 mmol/L 以上の塩基不足を伴う臍帯動脈血 pH 7.05 以下,分娩時の人工換気のための挿管,新生児脳症の複合とした.

結 果

11,108 例を無作為化し,5,532 例を非盲検群,5,576 例を盲検群に割り付けた.主要転帰は,非盲検群の女性の胎児・新生児 52 例(0.9%),盲検群の女性の胎児・新生児 40 例(0.7%)で発生した(相対リスク 1.31,95%信頼区間 0.87~1.98,P=0.20).主要転帰の各項目のなかで,非盲検群の新生児と盲検群の新生児とのあいだで有意差が認められたのは,5 分後アプガースコア 3 点以下のみであった(0.3% 対 0.1%,P=0.02).非盲検群と盲検群とで,帝王切開率(それぞれ 16.9%と 16.2%,P=0.30)にも手術分娩率(それぞれ 22.8%と 22.0%,P=0.31)にも,有意差は認められなかった.有害事象はまれで,発現率は同程度であった.

結 論

従来の分娩時電気的胎児心拍数モニタリングの補助として胎児心電図 ST 部分解析を用いても,周産期転帰は改善せず,また手術分娩率は低下しなかった.(米国ユニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健・人間発達研究所,Neoventa Medical 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01131260)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 632 - 41. )