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August 20, 2015 Vol. 373 No. 8

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ヒト免疫不全ウイルス 1 型と C 型肝炎ウイルスに重複感染している患者の C 型肝炎ウイルスに対するダクラタスビルとソホスブビルの併用
Daclatasvir plus Sofosbuvir for HCV in Patients Coinfected with HIV-1

D.L. Wyles and Others

背景

C 型肝炎ウイルス(HCV)NS5A 阻害薬ダクラタスビルと NS5B 阻害薬ソホスブビルの併用は,HCV 単独感染患者に対して有効であることが示されている.ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)と HCV に重複感染している患者におけるこの併用療法の有効性と安全性については,データが不足している.

方 法

HIV-1 と HCV に重複感染している患者で,HCV に対する治療歴のない 151 例と,治療歴のある 52 例を対象に非盲検試験を行った.治療歴のない患者を,ダクラタスビルの標準用量 60 mg/日(併用する抗レトロウイルス薬によって用量を調節)+ソホスブビル 400 mg/日を,12 週間投与する群と 8 週間投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.治療歴のある患者は,同レジメンを 12 週間投与する群に割り付けた.主要評価項目は,治療歴がなく 12 週間投与を受けた HCV 遺伝子型 1 型感染患者における,治療終了後 12 週の時点でのウイルス排除(SVR)とした.

結 果

患者が感染している HCV 遺伝子型は 1 型から 4 型まであり(遺伝子型 1 型が 83%),14%が代償性肝硬変を有し,98%が抗レトロウイルス療法を受けていた.遺伝子型 1 型感染患者で SVR が報告されたのは,治療歴がなく 12 週間投与を受けた群の 96.4%(95%信頼区間 [CI] 89.8~99.2),治療歴がなく 8 週間投与を受けた群の 75.6%(95% CI 59.7~87.6),治療歴があり 12 週間投与を受けた群の 97.7%(95% CI 88.0~99.9)であった.全遺伝子型を合わせた SVR 率は,それぞれ 97.0%(95% CI 91.6~99.4),76.0%(95% CI 61.8~86.9),98.1%(95% CI 89.7~100)であった.頻度の高かった有害事象は,疲労,悪心,頭痛であった.有害事象による試験薬の中止はなかった.HIV-1 抑制の減弱は認められなかった.

結 論

治療歴のない HIV と HCV の重複感染患者において,HCV 感染に対してダクラタスビル+ソホスブビルを投与した場合,全遺伝子型における SVR 率は,12 週間投与を受けた例で 97.0%,8 週間投与を受けた例で 76.0%であった.(Bristol-Myers Squibb 社から研究助成を受けた.ALLY-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02032888)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 714 - 25. )