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September 3, 2015 Vol. 373 No. 10

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たこつぼ(ストレス)心筋症の臨床像と臨床転帰
Clinical Features and Outcomes of Takotsubo (Stress) Cardiomyopathy

C. Templin and Others

背景

たこつぼ(ストレス)心筋症の自然経過,管理,転帰は完全には解明されていない.

方 法

たこつぼ心筋症の臨床像,予後予測因子,臨床転帰を検討するため,欧州・米国の 26 施設によるコンソーシアムである「国際たこつぼ登録」が設立された.対象を,年齢,性別でマッチさせた急性冠症候群患者と比較した.

結 果

たこつぼ心筋症患者 1,750 例のうち,89.8%が女性(平均年齢 66.8 歳)であった.情動的ストレスは身体的ストレスほど多くはなく(27.7% 対 36.0%),患者の 28.5%には明らかな要因がなかった.たこつぼ心筋症患者では,急性冠症候群患者と比較して,神経・精神障害の有病率が高く(55.8% 対 25.7%),平均左室駆出率が著しく低かった(40.7±11.2% 対 51.5±12.3%)( いずれの比較も P<0.001).ショック,死亡を含む重度院内合併症の発生率は,両群で同程度であった(P=0.93).入院時の身体的ストレス,急性の神経・精神障害,トロポニン上昇,左室駆出率低下は,院内合併症の独立した予測因子であった.長期にわたる追跡において,主要有害心イベント・脳血管イベントの発生率は 1 患者年あたり 9.9%であり,死亡率は 1 患者年あたり 5.6%であった.

結 論

たこつぼ心筋症患者では,急性冠症候群患者と比較して,神経・精神障害の有病率が高かった.たこつぼ心筋症は,合併症発生率・死亡率の高い急性心不全症候群である.(マッハ-ゲンスレン財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01947621)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 929 - 38. )