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March 17, 2016 Vol. 374 No. 11

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IKAROS のヘテロ変異を有する患者における B 細胞の減少
Loss of B Cells in Patients with Heterozygous Mutations in IKAROS

H.S. Kuehn and Others

背景

分類不能型免疫不全症(CVID)は,素因のない遅発性低ガンマグロブリン血症を特徴とする.ほとんどの症例は遺伝的原因がわかっておらず,家族歴を有する患者は 10%に満たない.ほとんどの患者で B 細胞数は正常であるが,形質細胞数が減少している.

方 法

B 細胞数が減少している CVID 患者を評価するため,全エクソーム解析とアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーションを行った.変異蛋白における DNA 結合を,電気泳動移動度シフト解析(EMSA)と共焦点顕微鏡によって解析した.末梢血リンパ球と骨髄穿刺液をフローサイトメトリーで解析した.

結 果

6 家系 29 例で,転写因子 IKAROS をコードする遺伝子 IKZF1 に,6 つの異なるヘテロ変異が同定された.2 家系では,同定された変異は発端者に新規(de novo)に生じたものであった.4 つのアミノ酸置換,遺伝子内欠失,4.7 Mb の多重遺伝子欠失といったすべての変異が,IKAROS の DNA 結合ドメインに認められた.ミスセンス変異を有する蛋白は,EMSA と共焦点顕微鏡観察で標的 DNA 配列と結合できていなかったが,野生型 IKAROS の結合は阻害されなかった.家系構成員を対象とした研究では,B 細胞と血清免疫グロブリンの進行性減少が認められた.2 例の骨髄穿刺液では,初期 B 細胞前駆体は著しく減少していたが,形質細胞は存在した.急性リンパ性白血病は 29 例中 2 例で発現した.

結 論

転写因子 IKAROS のヘテロ変異が,B 細胞数の著明な減少に関連する常染色体優性 CVID を引き起こした.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 1032 - 43. )