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March 31, 2016 Vol. 374 No. 13

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刑事犯罪者におけるオピオイド依存症再発防止のための徐放性ナルトレキソン
Extended-Release Naltrexone to Prevent Opioid Relapse in Criminal Justice Offenders

J.D. Lee and Others

背景

μオピオイド受容体完全拮抗薬の月 1 回投与の徐放性注射製剤である徐放性ナルトレキソン(naltrexone)は,オピオイド依存症の再発防止に有効である.ナルトレキソンが米国の刑事犯罪者に有効であることを示すデータは限られている.

方 法

5 施設共同非盲検無作為化試験において,オピオイド依存症の既往があり,オピオイド維持療法ではなくオピオイドを用いない治療を希望し,無作為化の時点でオピオイドを使用していなかった成人刑事犯罪者(米国の刑事司法制度の対象となった人)を対象に,オピオイド依存症の再発防止策として,24 週間の徐放性ナルトレキソン(Vivitrol)投与を,簡単なカウンセリングと地域の治療プログラムへの紹介を行う通常治療と比較した.主要評価項目はオピオイド依存症再発イベントまでの期間とし,再発イベントは 28 日のうち 10 日以上のオピオイド使用と定義し,自己申告または 2 週ごとに行った尿検査により評価した.検体がオピオイド陽性であった場合,または検体を入手することができなかった場合は,5 日間のオピオイド使用として計算した.治療後の追跡調査は 27 週,52 週,78 週の時点で行った.

結 果

153 例を徐放性ナルトレキソン群,155 例を通常治療群に割り付けた.24 週の治療期間中,再発までの期間の中央値は徐放性ナルトレキソン群のほうが通常治療群よりも長く(10.5 週 対 5.0 週,P<0.001,ハザード比 0.49,95%信頼区間 [CI] 0.36~0.68),再発率が低く(参加者の 43% 対 64%,P<0.001,オッズ比 0.43,95% CI 0.28~0.65),尿検体がオピオイド陰性であった割合が高かった(74% 対 56%,P<0.001,オッズ比 2.30,95% CI 1.48~3.54).78 週の時点(治療期間終了から約 1 年後)において尿検体がオピオイド陰性であった割合は同等であった(各群 46%,P=0.91).その他の事前に規定した副次的評価項目である,自己申告によるコカイン・アルコール・静注薬物の使用,危険な性行為,再収監の発生率は,徐放性ナルトレキソン群のほうが通常治療群よりも有意に低いということはなかった.観察を行った 78 週を通して,過量服薬イベントは徐放性ナルトレキソン群では発生せず,通常治療群では 7 件発生した(P=0.02).

結 論

刑事犯罪者を対象としたこの試験では,徐放性ナルトレキソンを投与した群は,通常治療を行った群よりもオピオイド依存症の再発率が低かった.オピオイド使用抑制効果は治療中止後に減弱した.(米国国立薬物乱用研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00781898)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 1232 - 42. )