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April 28, 2016 Vol. 374 No. 17

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多発性骨髄腫に対する経口イキサゾミブ,レナリドミド,デキサメタゾン
Oral Ixazomib, Lenalidomide, and Dexamethasone for Multiple Myeloma

P. Moreau and Others

背景

イキサゾミブ(ixazomib)は,多発性骨髄腫の治療薬として現在研究されている経口プロテアソーム阻害薬である.

方 法

二重盲検プラセボ対照第 3 相試験において,再発性多発性骨髄腫,難治性多発性骨髄腫,再発・難治性多発性骨髄腫の患者 722 例を,イキサゾミブとレナリドミド+デキサメタゾンを投与する群(イキサゾミブ群)と,プラセボとレナリドミド+デキサメタゾンを投与する群(プラセボ群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は無増悪生存期間とした.

結 果

追跡期間中央値 14.7 ヵ月の時点での無増悪生存期間は,イキサゾミブ群のほうがプラセボ群よりも有意に長かった(中央値 20.6 ヵ月 対 14.7 ヵ月,イキサゾミブ群の病勢進行または死亡のハザード比 0.74,P=0.01).イキサゾミブレジメンでは,事前に規定した,高リスクの細胞遺伝学的異常を有する患者などのサブグループすべてで,プラセボレジメンと比較して無増悪生存期間に利益が認められた.全奏効率は,イキサゾミブ群 78%,プラセボ群 72%であり,完全奏効またはきわめて良好な部分奏効がみられた患者の割合はそれぞれ 48%と 39%であった.追跡期間中央値が約 23 ヵ月の時点での奏効までの期間の中央値は,イキサゾミブ群 1.1 ヵ月,プラセボ群 1.9 ヵ月であり,奏効期間の中央値はそれぞれ 20.5 ヵ月と 15.0 ヵ月であった.全生存期間中央値は両群ともに未到達であり,追跡は継続中である.重篤な有害事象の発現率は同程度であり(イキサゾミブ群 47%,プラセボ群 49%),試験期間中の死亡率も同程度であった(それぞれ 4%,6%).グレード 3 以上の有害事象は,それぞれ 74%と 69%で発現した.グレード 3,グレード 4 の血小板減少症は,イキサゾミブ群(それぞれ 12%と 7%)のほうがプラセボ群(それぞれ 5%と 4%)よりも頻度が高かった.発疹は,イキサゾミブ群のほうがプラセボ群よりも頻度が高く(36% 対 23%),消化器系有害事象も,主に低グレードであったがイキサゾミブ群のほうが頻度が高かった.末梢神経障害の発生率は,イキサゾミブ群 27%,プラセボ群 22%であった(グレード 3 の末梢神経障害は各群 2%で発生した).患者による QOL 評価は両群で同程度であった.

結 論

レナリドミド+デキサメタゾンレジメンにイキサゾミブを追加した場合,無増悪生存期間に有意な延長が認められた.すべて経口薬によるこのレジメンで増加する毒性は限定的であった.(Millennium Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.TOURMALINE-MM1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01564537)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 1621 - 34. )